上昇率131%超の都市も攻略!
出張費最適化のための決定版データ
出発月・航空会社別の価格変動データを公開中です。貴社の出張規程を現状のマーケットにあわせる際にお役立てください。

食費や光熱費など、生活に身近なあらゆるものの値上がりが続いています。
しかしこの物価高騰の波は、決して家計だけのものではなく、企業活動においても無視できない影響を及ぼしています。
なかでも出張費の高騰は、多くの企業にとって課題となりつつあります。
この課題に対して、多くの企業が出張費の抑制に日々知恵を絞られているかと思います。
しかし、とにかく「安い航空券やホテル」を確保することで、コスト削減ができたと安堵してしまっているということはございませんか。
実は、見直すべきは目に見える金額だけではなく、その裏に隠れた「見えないコスト」かもしれません。
本コラムでは、航空券やホテル代のデータを比較しながら、表面的な出張費データの裏まで見据えた「実態に即したコスト適正化」に必要なことをご紹介します。
以下の実績データは、HISの2024年・2025年の出発データより作成しています。

現状の出張費がどのように変動しているかを当社の実績データ(2024年〜2025年)に基づき、航空券および宿泊費のトレンドを分析し、単なる安さでは通用しない時代の複雑な出張費の価格実態に迫ります。
2024年/2025年 エコノミークラス方面別平均金額
| 都市 | 2024年 | 2025年 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 上海 | 83,428円 | 80,100円 | 96% |
| 台北 | 72,672円 | 75,805円 | 104.3% |
| バンコク | 103,597円 | 106,080円 | 102.4% |
| シンガポール | 148,641円 | 171,598円 | 115.4% |
| ロサンゼルス | 246,483円 | 240,185円 | 97.4% |
| ニューヨーク | 312,602円 | 325,835円 | 104.2% |
| パリ | 235,320円 | 262,102円 | 111.4% |
| フランクフルト | 259,318円 | 296,466円 | 114.3% |
| ドバイ | 135,359円 | 178,074円 | 131.6% |
欧州都市を中心にドバイやシンガポールといった主要なハブ都市やビジネス都市で、価格の大幅上昇がみられます。フランクフルトでは前年比114.3%、ドバイでは131.6%の上昇がみられました。一方でアジア圏の一部や北米では4%程の微増にとどまり、上海やロサンゼルスではわずかに価格が減少しています。
2024/2025 予約リードタイム平均
| 都市名 | 2024年 (平均) |
2025年 (平均) |
前年比 |
|---|---|---|---|
| 上海 | 29日 | 28日 | -1日 |
| 台北 | 29日 | 30日 | +1日 |
| バンコク | 37日 | 41日 | +4日 |
| シンガポール | 36日 | 34日 | -2日 |
| ロサンゼルス | 45日 | 50日 | +5日 |
| ニューヨーク | 42日 | 43日 | +1日 |
| パリ | 68日 | 54日 | -14日 |
| フランクフルト | 46日 | 62日 | +16日 |
| ドバイ | 31日 | 36日 | +5日 |
2024/2025 発券リードタイム平均
| 都市名 | 2024年 (平均) |
2025年 (平均) |
前年比 |
|---|---|---|---|
| 上海 | 22日 | 23日 | +1日 |
| 台北 | 23日 | 23日 | ±0日 |
| バンコク | 31日 | 33日 | +2日 |
| シンガポール | 29日 | 27日 | -2日 |
| ロサンゼルス | 36日 | 42日 | +6日 |
| ニューヨーク | 33日 | 32日 | -1日 |
| パリ | 57日 | 46日 | -11日 |
| フランクフルト | 46日 | 53日 | +7日 |
| ドバイ | 31日 | 29日 | -2日 |
パリでは、予約リードタイム(予約から出発日までの期間)-14日、発券リードタイム(発券から出発までの期間)-11日の短期化に加え、前年比111.4%という価格上昇が重なりました。このことから、価格高騰の1つの要因として「直前手配=コスト高騰」である可能性があります。
一方で、価格変動の要因がリードタイムではない都市もあります。短期化している度合いが小さい、あるいは長期化しているにもかかわらず価格が大幅に高騰している都市は、リードタイム以外の要素に要因があることが言えます。例えば、ドバイでは、価格は大幅に上昇しているにもかかわらず、リードタイムの短期化は僅かです。また、フランクフルトでは、価格が上昇しているにもかかわらず、リードタイムは長期化しています。
航空券の価格は「いつ出発するか」や「どの航空会社を利用するか」によっても変動します。2024年および2025年のデータを詳しく分析すると、同じエコノミークラスの利用であっても、特定の出発月には需要の集中により平均価格が押し上げられる傾向がみられます。また、原油価格の高騰や円安による燃油サーチャージの値上げといった外部要因に加え、利便性やサービスレベルなど重視するポイントによって選択肢が多岐にわたります。
このように複雑化している状況だからこそ、単に安い航空券を手配したり、リードタイム管理を行うだけではコスト適正化に対応しきれません。地域や路線ごとの正確な可視化と、それに基づいた柔軟なポリシー(規程)の見直しが重要になります。
主要首都別ホテル価格代金の比較
| 国 | 2024年 (平均) |
2025年 (平均) |
前年度比 |
|---|---|---|---|
| 中華人民共和国 | 25,064円 | 23,991円 | 95.7% |
| 台湾 | 22,597円 | 25,446円 | 112.6% |
| タイ | 21,023円 | 21,855円 | 104% |
| シンガポール | 40,862円 | 39,424円 | 96.5% |
| アメリカ | 46,028円 | 55,827円 | 121.3% |
| フランス | 46,039円 | 60,382円 | 131.2% |
| ドイツ | 38,854円 | 34,650円 | 89.2% |
| アラブ首長国連邦 | 44,372円 | 31,050円 | 70% |
2024年から2025年にかけて、欧米諸国では価格の上昇が目立つ一方、中東や一部のアジア地域では下落または微増にとどまる傾向が見られます。
フランスは131.2%、アメリカは121.3%と大幅に上昇しています。タイや中国、台湾などのアジア圏では多少の微増/微減があるものの、20,000円代を維持しています。
2026年の出張動向は、昨今から続く物価高騰に加え、世界規模のイベントがビジネスの主要拠点と重なったことで、出張費の急激な変動や高騰がより顕著になりました。
実際に、3月に開催された野球の世界一決定戦や、6〜7月にアメリカ(ニューヨーク、ロサンゼルスなど11都市)、メキシコ、カナダで開催されたサッカーの世界一決定戦の期間中は、現地の交通費や宿泊費が一時的に変動しました。
例えば、サッカー大会の会場となったスタジアム近くのホテルでは、通常1泊200ドル(約3万2,000円)程度の宿泊料金が、開催期間中には800ドル(約12万6,000円)、さらに7月の決勝戦前には1泊1,300ドル(約20万5,000円)以上にまで跳ね上がるケースが見られました。
また宿泊費だけでなく、スタジアム最寄り駅までの鉄道往復運賃が、当初の150ドルから批判を受けて98ドルに引き下げられたものの、依然として通常運賃の7倍以上となるなど、周辺の交通インフラも含めてコストが急騰しました。
しかしその一方で、渡航にかかる諸費用の高騰により予約が想定を下回り、多くのホテルが直前になって値下げを余儀なくされるなど、需給バランスの極めて難しい局面も見られました。
さらに、こうした海外でのビッグイベントだけでなく、国内においても9月中旬から10月初旬にかけてアジア規模の大型スポーツイベントの開催を間近に控えています。
周辺エリアの宿泊施設や交通機関では、今後さらなる混雑や一時的な価格上昇が予想されており、国内出張においても警戒が必要です。
このような状況下では、単に費用が高くなるだけでなく、航空券やホテルの手配自体が極めて複雑になり、出張日程の変更や出張自体の断念といった「機会損失(見えないコスト)」に直面するリスクが高まります。
これまで、こうしたコスト高騰への対策は「より安く手配する」という現場の努力に頼らざるを得ない面がありました。
しかし、価格高騰の要因がここまで複雑化している現在、出張者個人の工夫だけで解決するのは困難です。
こうした不確実で激しい変化に備えるためにも、これまでの旅費規程を現状のマーケット実態に合わせて見直し、ルールや手配システムを整えておくことの重要性が高まっています。
コスト削減を目的として、なるべく安い料金で購入することで短期的なコスト削減ができるというメリットがあるように見えます。 しかし、航空券やホテルの「安さ」だけを判断基準に選び続けることは、結果として出張者に一方的な「制限」を強いることにつながり、後に続く「人的資源の損失」といった「見えないコスト」を増大させるリスクがあります。
1. 一方的な制限によるガバナンスの緩み
データが示す通り、2024年から2025年にかけて航空券ではドバイで前年比+31.6%、フランクフルトでは+14.3%と大幅に上昇したほか、宿泊費でもフランスで前年比+31.2%、アメリカで+21.3%と大幅に上昇しており、価格を抑えて手配することが困難になってきています。その結果、いかにして価格を抑えようと出張者に対して「キャンセル不可」や「払い戻し不可」といったリスキーな条件での購入を求めざるを得なくなります。 コスト削減要求と利便性低下の板挟みになった担当者と、不便を強いられる出張者との間で摩擦が生じ、互いの関係性が悪化する原因となります。
2. 自費出費の可能性
出張者は業務遂行上の品質を確保するため、適切なグレードの宿泊施設や、日程変更に備えた航空券を確保する必要があります。しかし、規程で定められている支給額がマーケット実態と乖離している場合、出張者がやむを得ず超過分を自費で一時負担する、といった事態も懸念されます。
この企業経費として計上されない「隠れたコスト」の転嫁こそが、出張者の会社に対する不公平感やモチベーションの低下につながるリスクがあります。
3. エンゲージメントの低下
上記のような「制限」や自費出費の常態化は、出張者の会社へのエンゲージメントを著しく低下させます。特に、国内外の出張が多い優秀な人材ほど、待遇や業務環境への不満から離職を選択するリスクが高まります。その結果として、採用・育成に費やした人件費という「見えないコスト」の損失という形で現れてくる可能性も否定できません。
実態に即したコストの適正化とは、単に費用を抑えることではなく、先に述べた「人的資源の損失」という「見えないコスト」を最小限に抑え、出張者と企業の双方にとって最適なコストを実現できるための整備を整えることです。
コスト適正化と利便性の両立を可能にするこの基盤構築には、具体的に何が必要なのでしょうか?
1. データに基づいた可視化とポリシーの見直し
2024年から2025年にかけての出張費データは、コスト高騰の状況が地域や路線によって大きく異なることを示しており、航空券、宿泊費と共に、その変動は一律ではありません。
まず、航空券と宿泊費の双方のデータを分析し、どの地域で、どの路線でコストが高騰しているのかを正確に可視化することが不可欠です。その上で、現行の出張規程やポリシーを現状のマーケット価格や、安さを追及することで生じるリスクに対応できるように柔軟に見直す必要があります。
これにより、実態に合わない制約を解消し、隠れたコストのリスクを最小限に抑えることで、最適なコストを実現します。
2. リードタイムのデータ分析と管理目標の設定
価格変動の一因としてリードタイムが挙げられます。特に航空券の価格は、予約リードタイム(予約から出発日までの期間)や発券リードタイム(発券から出発までの期間)によって変動することが、先ほどのデータから言えます。
しかし、リードタイムは価格高騰を決定づける複雑な要因の一つにすぎません。そのため、単に「早期予約をすればいい」というわけではなく、価格変動とリードタイムの相関関係をデータに基づいて分析し、地域や路線ごとに最適なリードタイムの目標を設定することが大切です。
3. コスト削減効果の定量化
早期予約ルールの推奨といったコスト適正化策を導入した後も、その効果を単なる費用削減だけでなく、出張者の利便性や満足度といった側面からも定量的に評価することが必要です。利便性を犠牲にした「制限」は、最終的に出張者の離職につながるリスクがあります。
施策の定量的な評価を通じて、出張者にとっての利便性を損なうことなく、企業のポリシーに基づいた最適な選択肢を提示する仕組みを構築し、継続的な改善サイクルを回すことが重要です。
これまで述べてきたことから、実態に即したコストの適正化は目先の費用削減ではなく、「人的資源の損失」という見えないコストの排除にあると言えるでしょう。
物価高騰下で安さだけを追及し、「キャンセル不可」などのリスキーな条件を強いることは、結果として隠れたコストを増大させます。
したがって、企業に求められるのは、地域・路線ごとの航空券や宿泊費のデータに基づいた正確な可視化と、現状のマーケットに対応した柔軟な出張規程やポリシーの見直しです。
出張者の利便性を損なうことなく最適な選択肢を提示し、継続的な改善サイクルを回すことこそが出張規程の根本的な見直しを促す原動力となり、コスト適正化と利便性の両立を実現する鍵となります。
貴社の出張費は、昨今の物価高騰の影響をどのように受けているでしょうか。
貴社の現状をデータで可視化し、最適な出張規程のロードマップを策定しませんか?
出張費の「適正化」に向けた見直しについて、ぜひお気軽にご相談ください。