新型コロナウイルスの発生以降、海外出張の自粛を余儀なくされ、海外出張のあり方が大きく変化いたしました。
各国の入国緩和、日本の水際対策が撤廃され、2023年は海外出張の需要が回復しています。
企業様におかれましては、航空券やホテル代金の高騰における出張規定の見直しや手配の煩雑さから出張管理の方法を模索されてるのではないでしょうか。
そこでHISの実績データから見える現在の海外渡航の動向の分析と煩雑さを解消する包括サポートについてご紹介いたします。
<出張の実績データについて>
以下の実績データは、HISの出発データより作成しています。
現在の海外出張の動向は?
【表① 海外旅行取扱高 対象市場別 回復率比較表(1~4月比較 単位:百万円)】
市場 | 2023年 | 2019年 | 回復率 |
---|---|---|---|
全体 | 221,560 | 631,420 | 35.1% |
業務渡航 | 51,483 | 78,251 | 65.8% |
レジャー | 11,941 | 53,565 | 22.3% |
【表② 都市別渡航先シェアの変化】
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<2019年>
都市 平均
航空券単価平均
出張日数シェア ソウル ¥75,000 5 9.1% 上海 ¥112,000 6 13.5% 台北 ¥93,000 5 6.9% 香港 ¥104,000 6 5.8% ホーチミン ¥114,000 9 3.0% バンコク ¥138,000 9 8.2% マニラ ¥105,000 9 2.2% シンガポール ¥180,000 8 3.1% ジャカルタ ¥167,000 9 1.8% クアラルンプール ¥141,000 8 1.3% デリー ¥234,000 9 0.6% ニューヨーク ¥455,000 9 0.8% ロサンゼルス ¥315,000 10 1.3% ロンドン ¥414,000 14 1.0% フランクフルト ¥353,000 10 1.2% -
<2023年>
都市 平均
航空券単価平均
出張日数シェア ソウル ¥108,000 7 10.4% 上海 ¥245,000 10 4.5% 台北 ¥140,000 9 9.4% 香港 ¥178,000 7 3.3% ホーチミン ¥174,000 10 4.2% バンコク ¥225,000 10 8.9% マニラ ¥184,000 11 2.8% シンガポール ¥324,000 8 4.1% ジャカルタ ¥248,000 14 2.5% クアラルンプール ¥239,000 11 1.9% デリー ¥343,000 9 1.1% ニューヨーク ¥721,000 10 1.2% ロサンゼルス ¥566,000 11 2.1% ロンドン ¥766,000 10 1.5% フランクフルト ¥567,000 11 2.1%
【表③ エコノミークラス航空券平均価格】
エリア | 2019年 | 2022年 | 2023年 | 2019年比 |
---|---|---|---|---|
アジア | ¥93,603 | ¥162,871 | ¥148,287 | 158.4% |
アフリカ | ¥133,630 | ¥141,783 | ¥252,720 | 189.1% |
欧州 | ¥237,386 | ¥344,450 | ¥411,406 | 173.3% |
大洋州 | ¥156,009 | ¥242,463 | ¥254,775 | 163.3% |
中東 | ¥150,761 | ¥254,407 | ¥259,689 | 172.3% |
中南米 | ¥262,892 | ¥294,692 | ¥441,855 | 168.1% |
北米 | ¥234,831 | ¥327,232 | ¥419,332 | 178.6% |
【表④ 海外宿泊平均価格】
都市名 | 2019年 | 2022年 | 2023年 | 2019年比 |
---|---|---|---|---|
ソウル | ¥13,894 | ¥19,304 | ¥23,005 | 166% |
上海 | ¥13,815 | ¥15,393 | ¥22,682 | 164% |
バンコク | ¥13,052 | ¥21,117 | ¥18,404 | 141% |
シンガポール | ¥18,721 | ¥30,625 | ¥27,912 | 149% |
ニューヨーク | ¥26,012 | ¥26,012 | ¥42,551 | 164% |
ロサンゼルス | ¥25,402 | ¥37,112 | ¥40,457 | 159% |
ロンドン | ¥21,458 | ¥31,130 | ¥31,959 | 149% |
パリ | ¥22,863 | ¥36,692 | ¥34,266 | 150% |
海外出張市場は7割程度まで回復
上記のデータをもとに、現在の海外出張の動向について見ていきましょう。
まずは、海外出張の再開状況についてです。
表①の観光庁がまとめた主要旅行業者の2023年1~4月の海外旅行取扱額をJATA(日本旅行業協会)が分類したところ、業務渡航の回復率は2019年比で65.8%まで回復しています。
また、2023年の8月にHISで開催したセミナーに参加された約100社のうち7割の企業様は「全般的に海外出張を再開している」と回答をいただいている状況です。
水際措置の撤廃により検疫の壁がなくなり、各国の入国条件も新型コロナウイルスの発生前に戻ったことが大きく影響しています。
表②の都市別渡航先シェアにおいて、渡航先に大きな変化はありませんが、査証取得へのハードルや座席供給数の大幅な減少により中国渡航の回復が遅れていることがうかがえます。
航空券・ホテル価格の急騰
近年の物価高の影響は海外渡航においても大きく影響しています。
【表③エコノミークラス航空券平均価格】・【表④海外宿泊平均価格】は、HIS手配実績から算出したデータになります。
2019年のアジア行きのエコノミークラスの平均単価は10万円以下でしたが、2023年現在では約15万円まで単価が上がっています。
ほかの地域も2019年と比べ、150%以上もの上がり幅となっているのが現状です。
また、各ホテルの価格においても2019年比で140%~160以上も価格が上昇しています。
航空券・ホテル価格の急騰には以下の3つが影響しています。
【1】世界情勢の影響による原油価格高騰に伴う燃油サーチャージが上昇
【2】フライトの運休・減便に伴い、座席供給数の減少
【3】各都市の物価上昇、円安による影響
<日本航空:燃油サーチャージ価格の推移>
2019年12月 | 2020年12月 | 2021年12月 | 2022年10月 | 2022年12月 | 2023年8月 | 2023年10月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
日本~中国(片道) | 2,500円 | 0円 | 2,800円 | 12,900円 | 11,200円 | 7,100円 | 8,400円 |
日本~北米(片道) | 10,500円 | 0円 | 11,600円 | 57,200円 | 47,000円 | 28,800円 | 33,400円 |
※出典:日本航空|国際線「燃油特別付加運賃」「航空保険特別料金」のご案内
燃油サーチャージは、航空会社や路線等によって料金が異なります。
<国際線定期便の全体運航便数の推移>
2019夏期 | 2020夏期 | 2021夏期 | 2022夏期 | 2023夏期 | |
---|---|---|---|---|---|
全体運航便数/週 | 5,953便 | 876.5便 | 1,598便 | 1,660便 | 3,770便 |
※出典:国土交通省|航空輸送の現状
全体運航便数は、旅客及び貨物便合計です。
入国制限が緩和され、国際線定期便が2019年夏期に比べ、6割程度まで回復がみられますが、座席供給数の減少だけでなく、物価高や訪日需要も影響し単価の上昇に繋がっています。
また燃油サーチャージに関しては、最高額を記録した2022年10月以降、値下がり傾向でしたが、2023年10月以降の発券分より再び値上がりを発表しています。
入国制限の緩和、定期便の回復により、2022年と比べ、平均価格が下がっている都市もございますが、今後も物価高、円安の影響により航空券やホテルなどの出張費の値上がりの影響は、しばらく続いていくのではないでしょうか。
海外出張のあり方に変化が
海外出張の自粛によるオンラインでの打ち合わせ・商談が定着したこと、出張費の圧迫により海外出張のあり方が変化しています。
2023年の平均出張日数は10日を超えています。
日数の増加には、一度の出張で複数の業務を遂行させる、複数の国・都市を周遊させて出張回数を抑えることが理由としてあげられるのではないでしょうか。
実際に現地に行かなければならない業務なのか、海外出張すること自体の価値に変化があらわれています。
これからの出張管理に必要なポイント
ここまではデータをもとに現在の海外出張の動向について説明してきました。ここからはこれからの出張管理のポイントを3つご紹介します。
POINT1 定期的な出張規定の見直し
「世界情勢が変化する中、出張規定はそのままになっていませんか?」
定期的な出張規定の見直しは出張費の削減に繋がります。
海外出張の規定だけではなく、基準の見直し、オンラインで足りる内容なのか、海外出張が必要なのかを判断できるよう定めておくことも必要です。
POINT2 リスクマネジメントの構築
「安全配慮義務を満たす危機管理体制の構築ができていますか?」
労働契約法5条は、企業に従業員の安全配慮義務を課しており、海外出張においても例外ではございません。
感染症・テロ・自然災害など、不測の事態に備える必要があります。
海外出張時の危機発生時に会社はどのように対応すべきか、出張者はどんな行動をとるべきか有事への備えを万全にしましょう。
POINT3 手配の一元化・データ管理
「渡航に必要な手配が煩雑化する中、出張者それぞれが自由に手配をしていませんか?」
「出張費などのデータ管理が事後管理になっていませんか?」
手配を集約させ、出張者の購買管理や出張の承認フローを統制、データ管理することにより、出張手配から精算までの出張業務のプロセスが可視化でき、業務の無駄をなくし、不正や無駄なコストを防止することに繋がります。
HISの出張旅費の最適化
(BTM/ビジネストラベルマネジメント)
HISでは、航空券比較などによる直接的なコストの削減だけではなく、事前の出張申請から手配、精算までを一元管理することによる間接コストの削減においてもサポートします。また、集約された出張データをもとにトラベルポリシーを構築し、段階的なコスト削減にも貢献いたします。
HISのビジネストラベルの強み
【1】6,000社以上の取扱実績、世界各地に広がる海外ネットワーク
【2】HIS独自の商品をはじめ、企業様ごとの予算や要望に合わせた危機管理プランをご提案
【3】一元管理による出張データを蓄積し分析、最適なトラベルポリシーを構築
出張管理システム"HIS BTM Portal"のご紹介
出張の申請から経費精算まで出張にかかわる業務を一貫して対応可能な管理ツールです。 出張規定や出張費用などの見える化を実現でき、ガバナンス強化や出張間接コスト削減、業務の効率化に貢献できます。
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回は、2023年現在の海外出張の動向と出張管理のポイントをご紹介いたしました。
手配の一元化は業務工数やコストの削減のみならず、リスクマネジメントの観点からも有効です。
この機会に出張規定の見直しや出張管理に関して検討してみてはいかがでしょうか。
海外出張の管理などで課題をお持ちの企業様はぜひご相談ください。