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なぜ出張精算の「領収書チェック・差戻し」は減らない?
個人立替に依存しない出張管理の考え方

公開日: 海外出張(管理者向け)

毎月の出張精算において、提出される申請内容のチェックや領収書(画像データや原本)の確認、金額の照合や不備の差し戻しに追われている出張管理部門――。

出張精算は、現場と管理部門の双方にとって大きな負担となりがちなのが実態です。 どれほどチェック作業を効率化しようと工夫を重ねても確認や催促の手作業が減らない背景には、確認の手順ではなく「個人立替を中心とした事後精算」という運用構造が大きく影響しているケースが多く見られます。

本コラムでは、アンケートデータをもとに、なぜ個人立替の仕組みが残り続けてしまうのか、その要因を解説します。さらに、単なるチェック作業の効率化にとどまらず「立替精算の負担を減らす仕組み 」へ転換するためのポイントを詳しく紐解きます。

【調査概要】
調査方法:Knowns Bizを活用したインターネット調査
調査期間:2026年7月
調査対象:全国の出張管理者、出張者
有効回答:763(管理者)、740(出張者)

終わらない領収書チェックと差し戻し
―バックオフィスが直面する運用の限界―

月末や精算の締め日が近づくたびに、経理や総務といった管理部門のもとには、各部署からの精算申請や領収書の確認作業が一気に集中します。

「日付や宛名が正しく記載されているか」
「申請された金額に間違いはないか」
「社内の旅費規程の上限を超えていないか」


担当者は、申請内容と添付された領収書を目視で確認し、申請内容と照合する作業に追われます。そして、日付の記載漏れや不鮮明な画像、規程外の利用が見つかるたびに、出張者本人へ連絡を取り、差し戻しや再提出を依頼しなければなりません。
差し戻しを受けた出張者もまた、利用明細などを再確認しながら、再申請の手間を強いられます。「不備をなくしてほしい」と社内に周知を重ねても、翌月になれば同じような確認・催促・差し戻しのやり取りが繰り返されます。このような煩雑な運用に疲弊している出張管理者は少なくありません。

「チェック作業の効率化」だけでは解決しにくい現実

こうした状況に直面したとき、多くの企業は「チェック作業そのものをいかに効率化するか」という方向に目を向けがちです。

・精算申請のチェックリストを細かく作成する


・記載不備の多い出張者へ注意喚起をおこなう


・OCR(文字認識)ツールを入れて入力の手間を減らす

しかし、いくらチェックのスピードを上げたり、ツールを導入したりしても、現場の負担感が解消されないケースは少なくありません。確認すべき「領収書」と「精算申請」が毎月発生する以上、チェックのスピードを上げても、確認・催促・差戻しという業務そのものをなくすことは困難です。重要なのは、「どうすればチェックを効率化できるか」だけではなく、「なぜチェックが必要になるのか」に目を向けることです。

なぜ確認や催促が消えないのか
―データから見えた「個人立替」の構造的課題―

管理者の負担が減らない理由を探るべく、Knowns Bizを活用した意識調査を行いました。

出張管理者を対象に出張管理業務において「特に非効率」と感じる部分を尋ねた調査では、最も多くの回答を集めたのが「【精算】立替精算のチェック、領収書の回収・差し戻し(47.20%)」でした。

次いで「【承認】管理者の承認フロー(36.74%)」、「【集計】出張データの集計、Excelへの手入力(31.87%)」と続いています。

あなたの立場から見て、
社内の出張業務で「特に非効率」だと感じるのはどこですか?
(最大3つまで)

複数回答 %
1 【手配】出張者による個別の検索・手配 28.95
2 【承認】管理者の承認フロー 36.74
3 【精算】立替精算のチェック、領収書の回収・差し戻し 47.2
4 【集計】出張データの集計、Excelへの手入力 31.87
5 【統制】出張者からの問い合わせ、ルール違反の対応 14.11
6 【規定】部署ごとに手配ルールや利用サイトがバラバラ 12.41
7 現状のやり方で最適化されており、特に負担は感じていない 9.25
8 その他 5.35

この結果が示すのは、出張管理者が特に業務時間を圧迫され、頭を悩ませているのは「手配前の事前承認」などではなく、出張が終わった後に発生する「事後処理(精算チェックと差し戻し)」であるという事実です。

現場を疲弊させる精算の落とし穴

一方、出張者側は精算業務に対してどのような課題を感じているのでしょうか。

出張後の精算に関して負担に感じていることを尋ねた同調査(※)では、「個人の立て替え負担(44.25%)」がトップとなりました。さらに「差し戻し・修正の対応(39.96%)」、「入力や照合の手間(32.36%)」が上位を占めています。

出張後の精算に関して、課題や負担に感じていることをすべてお選びください。
(複数選択可)

複数回答 %
1 入力や照合の手間 32.36
2 個人の立て替え負担 44.25
3 差し戻し・修正の対応 39.96
4 仮払いや払い戻しの手続き 31.97
5 精算に関する課題は特にない 19.69
6 その他 4.09

このデータからわかる通り、管理者と出張者の双方が「立替精算に伴う手続きや修正対応」に負担・課題を感じています。

確認や照合の連鎖を引き起こす「事後精算」の構造

個人立替による精算は、特別なシステムを組む必要がなく手軽に運用を始められるメリットがあります。しかし、出張件数が増えてくると「事前手配」と「事後精算」が分断され、業務負担が比例して大きくなる構造的な課題も抱えています。

個人立替をベースとした運用では、どうしても以下のプロセスが発生します。

出張者:各自で予約・支払いをおこなう


出張者:紙や電子データで領収書を発行・保管する


出張者:精算システム等に入力し、領収書を添えて申請する


管理者:目視で記載内容や金額を照合する


双方:不備があれば連絡・差し戻し・再申請をおこなう

「個人で立て替え、後から会社が確認し精算する」という流れがある限り、後半の「入力・照合・不備対応」の工程において、負担が大きくなってしまう構造を変えることは困難です。

業務効率化が進まないと感じる背景には、担当者の習熟度やツールの性能だけでなく、こうした「事後に手作業で確認せざるを得ない運用構造」そのものが大きく関係しているのです。

なぜ出張業務で「個人立替」が残り続けてしまうのか

国内外を問わず潜む「立替精算」の落とし穴

企業における出張管理の現状を紐解くと、海外・国内を問わず「個人立替」という事後精算前提の運用が依然として残っている実態が見えてきます。

実際のアンケート結果を見ても、出張手配・精算において「個人立替」が一定の割合を占めており、今なお主流の運用パターンの一つとして存在しています。

【海外出張における】出張費の支払いや精算の状況について当てはまるものをお答えください。

単一回答 %
1 立替精算 20.93
2 コーポレートカード払い 41.53
3 都度請求書払い 25.58
4 一括法人請求 11.3
5 その他 0.66

【国内出張における】 出張費の支払いや精算の状況について当てはまるものをお答えください。

単一回答 %
1 立替精算 31.14
2 コーポレートカード払い 28.71
3 都度請求書払い 21.17
4 一括法人請求 13.38
5 その他 5.6

この立替精算の課題は、とりわけ「国内出張」において顕著に表れます。
国内出張においては、新幹線や国内航空券、ビジネスホテルの手配などで個人立替が選択されやすく、海外出張と比べて立替精算が発生しやすい状況にあります。

なぜ国内出張で「個人立替」が多く残りやすいのか

国内出張においてこの運用が残っている背景には、主に以下のような要因があります。

・1回あたりの利用金額が比較的少額で、個人カードや現金でも立て替えやすいため


・全社員にコーポレートカードを配布・管理する際の、紛失や不正利用(私的利用)といったガバナンス上のリスクが懸念されるため


・一般の予約サイトを個人で利用したほうが手軽に手配できるという認識があるため

件数の多さがもたらす膨大な手作業の悪循環

海外出張に比べて、国内出張は発生頻度が高くなります。1件あたりの金額が少額であっても、件数が積み重なれば手間は膨大なものになります。

たとえば、出張件数が「月に50件」発生する企業を想定してみましょう。 国内出張の約3割で個人立替が発生しているとすれば、毎月約15〜16件の立替精算がおこなわれる計算になります。1回の出張につき「往復の交通機関」「宿泊施設」「現地での移動費」などで少なくとも2〜3枚の領収書が発生するため、管理者のもとには毎月約30〜50枚以上の領収書が集まることになります。

【月50件の出張が発生する企業の精算処理イメージ】

個人立替が発生する出張
約15件(全体件数の約3割)


回収される領収書の枚数
約30〜50枚以上(1出張あたり2〜3枚)


毎月発生する作業
・領収書と精算金額の目視照合(30〜50回)
・日付・宛名・但し書きの不備確認(30〜50回)
・提出遅れに対する催促対応(数件〜十数件)
・記載ミスや金額相違による差し戻し対応(数件)

毎月数十回もの目視照合と、それに伴う催促や差し戻し作業が繰り返されているのです。
「領収書を集めて、確認して、差し戻す」という事後の手作業ベースの運用では、この悪循環から抜け出すのは容易ではありません。

「チェックの効率化」から「立替を減らす仕組み」への転換

では、出張管理者が領収書の確認や差し戻し対応から負担を軽減していくためには、どのようなアプローチが考えられるでしょうか。

重要なのは、単に「チェックの手間をいかに減らすか」という作業の効率化を追い求めるのではなく、「できるだけ個人立替を減らす運用」へと視点を切り替えることです。

個人立替の機会を減らしていくための方法としては、主に以下のような取り組みが挙げられます。

・会社側で手配・決済できるものを増やす(予約の集約化)


・法人カードや法人請求など決済方法を見直す(個人カード・現金支払いの抑制)


・予約・決済・精算データを連携させる(手入力や目視確認の手間削減)

ここで重要となるポイントは、「個人が支払い、後から会社が精算する」という工程を、可能な範囲で減らしていくことです。

こうした手配・決済・データ連携を企業側で一括して統括・管理する仕組みが「法人一括管理」です。
手配から精算までの購買プロセス自体を会社主導で集約・管理するため、結果として個人立替そのものが不要となり、領収書のチェック業務を軽減・解消することができます。

【従来の立替精算の運用】
出張者が手配 → 個人で立替 → 領収書取得 → 精算申請 → 管理者が目視確認・差し戻し


【法人一括管理の運用】
出張者が手配 → 会社側で決済 → 個人立替を削減 → 手配・決済情報を一元管理 → 個人からの領収書回収・確認負担を軽減

「点在する手作業の精算」から「手配と決済が一括管理された環境」へ

法人一括管理へ移行する大きなメリットは、社内に点在していた手作業での精算プロセスを簡略化できる点にあります。

事後に提出される領収書や申請を手作業で集めて照合する運用から、手配と決済をセットで一括化する仕組みを取り入れることで、書類の確認・照合・催促といった事後対応を大幅に削減できます。

業務効率化の先にある「精算負担の軽減とデータ活用」

個人立替の頻度を抑え、法人一括決済をはじめとする「立替を発生させない仕組み」へ切り替えるメリットは、毎月の立替精算業務が軽くなるだけに留まりません。

個人立替運用では、出張の手配情報や費用データが分散してしまう傾向にあります。そのため、全社で年間いくらの出張旅費がかかっているのかといった全体像をリアルタイムで把握することが難しくなるケースがあります。

手配と決済を一括管理する運用へシフトすることで、これまで精算書類の中に埋もれていた「出張データ」が自動的にデジタルデータとして蓄積されます。

これにより、領収書の照合や差し戻しといった手作業による負担を大幅に減らせるだけでなく、一元化されたデータをもとに出張費用の実態把握や予算の最適化へとスムーズに繋げられるようになります。

「立替精算」の再構築で実現する新たな出張管理

出張管理の負担を減らすために必要なのは、「どうやってチェック作業を効率化するか」という手法を探すことではありません。

領収書の確認や照合、差し戻しといった負担の背景にある「事後精算」という運用プロセス全体に目を向け、バランス良く見直していくことが大切です。

運用を見直し、事前手配や一括決済の仕組みを上手に取り入れていくことこそが、現場と管理者の双方を煩雑な作業から解放し、効率的でデータに基づく出張管理を実現するための効果的な一歩となります。

【参考情報】
※出張手配・経費精算に関する実態調査(Knownsを利用したWebアンケート調査)
https://knowns.co.jp/research/

精算業務の負担を大幅削減!
出張データ一元化のポイント!

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