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なぜ「手配をまとめる」だけでは出張費は下がらないのか?
3つの管理手法から紐解く、コスト最適化への正しい見極め方

公開日: 海外出張(管理者向け)

長引く円安や物価高の影響により、企業の海外出張費は高止まりを続けています。こうした中で、出張者や管理者自らが毎回のように最安値を探すのには、膨大な工数がかかってしまいます。
そこで、少しでも手配や管理を効率化しようと手配システムや旅行会社を導入する企業が増えています。しかし、実際にはデータがバラバラに分散してしまい、かえって管理業務が複雑になるだけでなく、企業全体の出張コストの最適化も難しくなっているケースが少なくありません。

本コラムでは、なぜ「手配をまとめる」だけでは出張費が下がらないのか、3つの管理手法が持つデータの繋がり方の違いを紐解きながら、自社の現在地を知り、次のコスト最適化へ向かうための正しい「見極め方」をお伝えします。

ツールを導入した管理者が直面する「矛盾」

現在、海外出張を取り巻く環境は大きく変化しています。長引く円安や物価高、予測不能な地政学的リスク、そしてそれに伴う航空券やホテル代の世界的な高騰。これら複数の要因が重なり合い、企業の出張コストは高止まりを続けています。さらに企業には、従業員を海外へ派遣する際の「安全配慮義務(労働契約法第5条)」を果たすための、危機管理体制も求められています。

このような状況下において、出張管理の役割は一件一件の「コスト削減」から、コスト管理と危機管理を含めた全体最適の視点が求められています。というのも今の時代、航空券やホテルはどこで予約しても値段に大きな差がないからです。そのため、単価の削減だけに頼っていては、企業全体のコスト最適化もシームレスな安全確保も成し遂げられません。

しかし、実際はどうでしょうか。出張の手間を削減しようと、手配や精算のシステムを導入したことで「満足」してしまい、会社としてのコスト削減や一元管理の効果は見えているでしょうか?

「便利になったはずなのに、「手配データ」と「精算データ」が一致せず、毎月のように管理者が手動でのチェックに追われている」
「どこに無駄があるのかを突き止めるために、結局自分でExcelを回してデータ分析をしている」

このように、効率化を目的に導入した仕組みが、新たな管理負担を生んでしまうケースもあります。

出張管理が「点」でバラバラになっている状況から脱却するためには、自社に今どのような管理が必要なのか、手配から精算までのデータを「一気通貫」で確認でき、出張費全体でコントロールできる環境(全体コントロール)にするには何を導入するべきなのかを、一度「俯瞰」で確認することが必要となります。

自社の「現在地」を正しく見極めることこそが、理想の出張管理のロードマップを引く第一歩となるのです。

「点」の管理と「全体コントロール」の違い

まずは、「自社手配」「旅行会社」「BTM」の違いを比較し、多くの企業が陥っている「部分最適の罠」を可視化してみましょう。

管理手法 運用の実態 手配の手間 データの状態 コスト削減の視点
①自社手配 各自で予約する 現場・管理者の負担が最大 データがバラバラで追えない 個人任せのため、コントロール不能
②旅行会社 出張手配の依頼、
予約システムによる手配業務
窓口一本化で手配は楽になる 手配データはあるが、精算データとは未連携
(※手動での照合・分析が必要)
1回ずつの「単価」交渉のみ
③BTM(ビジネストラベルマネジメント) 出張に関わる一連の業務を一元管理し、効率化やコスト削減を図る仕組み化させる運用 窓口一本化で楽になる 申請〜精算まで「線」で一元化 出張費の「全体コントロール」

ここでいう旅行会社とBTMの違いというのは、旅行会社に手配業務をメインに依頼をしているか、それとも出張管理の全体を依頼しているのかの違いとなります。

比較表を見ていただくと分かる通り、「①自社手配」から「②旅行会社」へ移行することで窓口が一本化され、現場や管理者の『手配の手間』という最初のハードルは確実にクリアできます。だからこそ、多くの企業が旅行会社の利用を始めたり、出張者自身で手配が出来る手配システムを導入したりと、手配を集約する管理方法へアップデートし、「①自社手配」から脱却するところまでは進むことが多いのです。

しかし、この手配業務を中心とした運用の場合、手配データの提供までは受けられるものの、その後の分析や改善活動は企業側に委ねられるケースも少なくありません。手配自体は楽になってもコスト管理に関しては依然としてバラバラなままです。
そのため、さらなるコスト最適化や危機管理の強化に限界を感じたり、継続的なコスト削減効果を生み出しにくくなるという課題があります。

手配が楽になったその先で、企業がよりコスト最適化を成し遂げるためには、「②旅行会社」から「③BTM」へ、もう一段ステップアップが必要となります。
BTMとは、単に新しいシステムを導入するということではありません。分断されていたデータを【申請から精算まで一本の線】に繋ぐことで、出張費を「会社全体でコントロールできる」体制を整えることなのです。

自社はどの段階?出張管理の「3つの進化ステップ」

この構造を踏まえた上で、自社の出張管理が現在どのフェーズにあるのか、現在地を把握してみましょう。
単に「どれを選ぶか」という選択肢ではなく、出張管理をより良くしていくための「3つのステップ」です。

ステップ1:各自予約フェーズ(自社手配)

・手配方法
航空券やホテルを出張者(もしくは出張管理者や総務など)が、外部のさまざまなサイトから都度手配している。


・ルール(規定)
手配先やプランはバラバラ。
規定はあるものの、その範囲内で基本的には出張者が自由に手配可能。


・精算方法
出張費は出張者側が一旦立替えて、後日領収書をもとに個別に経費精算をする。


・データと分析
手配データは各自のメールや手元に散らばっており、会社として一元化されたデータは存在しない。


・出発後の危機管理
誰がどこにいるのかを会社がリアルタイムに把握する術がなく、有事の際の安全確認は完全にブラックボックス化している。

ステップ2:個別システムフェーズ(旅行会社)

・手配方法
旅行会社経由でメールや電話でまとめて手配を行う。
(システムを導入している場合は、出張者本人がシステム上で手配をする)


・ルール(規定)
あらかじめ設定した出張規定に基づいて手配されるため、出張者が自由に好き勝手に手配することは出来ない。


・精算方法
手配内容を法人宛てに一括で請求・精算することが出来るため、出張者本人の立替精算は不要。


・データと分析
利用レポートは出してもらえるが、それは「月次レポートです」という共有に留まる。データの照合や具体的な改善策の分析は、企業側で行う必要がある。


・出発後の危機管理
手配やレポーティング機能を提供するケースが多い一方で、手配後や出張者が出発してからの動き・安全確保に関しては基本的には企業側に委ねられる。

ステップ3:全体コントロールフェーズ(BTM)

・手配方法
申請と連動した一元化システムを使い、出張者自身が迷わず最安ルートを横断検索・即時予約できる。


・ルール(規定)
事前の稟議申請データや出張規定が予約時に自動適用され、規定違反の予約をシステム側で未然にブロックできる。


・精算方法
予約データと精算データが紐づくため、法人一括請求はもちろん、管理者による手動確認や照合作業を大幅に削減できる。


・データと分析
蓄積されたリアルタイムデータをもとに、「課題のヒアリング ➔ 規定の見直し ➔ 最適な出張プランの提案」というコスト最適化のPDCAを継続的に回しやすくなる。


・出発後の危機管理
旅程データがリアルタイムに一元管理されているため、「今、誰が、どこの飛行機に乗り、どこに泊まっているか」を即座に捉えることができる。有事の際も正確な安否確認と指示出しができる。

ここまで共通の5つの項目で横並びにしたことで、自社が今「どこまで出来ていて、どこからが出来ていないのか」というギャップが見えてきたのではないでしょうか。

もし、まだ「①各自予約(自社手配)」の段階で、現場の手間や立替精算の手続きに追われている企業であれば、まずは【手配・ルール・精算】を集約し、「現場の効率化」をクリアすることが最優先のステップになります。

一方で、すでに①から脱却して「②旅行会社手配(または個別手配システムの導入)」まで進んでいる企業であれば、手配や精算単体での効率化はクリアできているはずです。しかし、物価高の今【データ分析・危機管理】まで含めた「全体コントロール」という理想の状態に対しては、まだ大きなギャップが残っていることに気づきます。

今できている手配の効率化を維持しながら、データ分析や危機管理との差分を埋め、よりスムーズに『運用しやすくする』ためのステップが、仕組み化を中心とした「③BTM」の考え方です。

このように、自社の現在のフェーズを正しく知り、「理想との差分」をどう埋めていくかを把握すること。この見極め方こそが最適な出張管理体制を築くための大切な一歩となります。

BTMが実現する全体コントロールの価値

BTMを導入する価値は、出張管理のあらゆる業務が一本の線で繋がり、コスト最適化のPDCAを継続的に回しやすくなる「運用の土台」が社内に構築されることにあります。
【申請 ➔ 手配 ➔ 精算 ➔ 危機管理 ➔ 改善分析】のすべてが一元管理されると、管理者の実務とコストは具体的にどう変わるのでしょうか。

1.申請・出張規定の最適化
申請データと予約システムが直結することで、過去のデータに基づいた「最適な出張ルート」が自動でシステムに適用されるようになります。出張者はその規定内で予約ができる状態が作られます。


2.一元化された予約・旅程データ管理
出張者は、普段使い慣れている民間の旅行サイトと同じ感覚で、新幹線、航空券、ホテル、レンタカーまでを会社指定の最安ルートで横断検索・即時予約できます。この時点で、誰が、いつ、どこへ行くのかという旅程データが管理者に集約されます。


3.一括精算(データチェックの消滅)
「誰がいくらで予約したか」と「実際にいくら支払われたか」という手配と精算データが紐づきます。また法人一括請求が可能になり、現場の立替精算業務が極限まで減るだけでなく、管理者は膨大なデータチェックの手間を大幅に削減できます。


4.万が一の際の危機管理(安否確認)
データが一元管理されているため、「誰が、今、どこの飛行機に乗っていて、どのホテルに泊まっているか」を即座に把握できます。災害やテロなどの有事の際も、個別に電話をかけ続けることなく、正確な安否確認と指示出しが可能になります。企業の安全配慮義務を果たすための「危機管理の4要素(危険情報・位置把握・緊急避難・運用の体系化)」がシームレスに機能します。


5.出しっぱなしにしない、次の一手が見えるデータ分析
データの集計や分析、出張規定の違反チェックはすべてパートナー企業が対応します。その分析をもとに、「次はどこの無駄をどうコントロールすれば全体が最適化できるか」という具体的な改善プランが定期的に提案されます。

全体コントロールがもたらす企業の未来

手配システムや旅行会社を導入した段階で、「ひとまず出張管理の第一歩はクリアできた」と安心されるケースは多いかと思います。実際に、手配や精算の工数を減らす「点の効率化」が実現できたことは、企業にとって大きな前進です。

しかし、物価高や円安が続く今、さらに企業全体のコスト最適化へ繋げるためには、社内で仕組みを作ることが必要になってきます。せっかく手配が楽になっても、データの照合やコスト分析が手作業のままだと、管理側の負担が増えてしまい、次の削減に向けた一歩が踏み出しにくくなってしまうからです。

今のやり方を少し変えるには多少の労力がかかるかもしれませんが、これはこれまでの効率化を無駄にせず、さらに上のレベルへと引き上げる「価値あるアップデート」です。
コスト最適化のPDCAが回り、危機管理までが一本の線で繋がる強固な土台を作ること。それこそが、会社にとっても現場にとっても目指すべき理想の出張管理であり、その仕組みを実現する上で、BTMは非常に有力な選択肢の一つといえるでしょう。

まずは、自社の出張管理が今どのフェーズにあり、どれだけ「全体コントロール」ができているか、一度確かめてみることから始めてみませんか?

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