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なぜ手厚くフォローしているのに
「入社後のギャップ」を防げないのか。
内定者を「お客様」から「当事者」に変える
5つのステップ

公開日: 企業イベント

内定者フォローをしているのに、入社後に「思っていた会社と違った」と言われる。
そんな経験はないでしょうか。
入社までの期間に不安を軽減し、期待感を高めてもらうために、懇親会や先輩社員との座談会、社内報の送付など、手厚い接点づくりに励んでいる企業は少なくありません。

しかし、それでも「入社後のギャップがなくならない」「何を、どこまでフォローすればよいのかわからない」と悩む声もよく耳にします。こうした悩みは、フォローの「量」が足りないからではなく、そもそも何を目的に内定者フォローを行うのかを見直すことで、別の答えが見えてくるかもしれません。

本コラムでは、手厚いフォローがかえって入社後のギャップにつながってしまう根本原因を紐解きます。そのうえで、内定者が自ら「ここで働く自分」を具体的にイメージできるようになるためのステップについて考えていきます。

手厚くフォローしているのに、なぜ内定者の不安やギャップは消えないのか?

多くの企業では、内定辞退や入社後のギャップを防ぐために、手厚いフォローを重ねています。しかし、そうした施策を何度繰り返しても、内定辞退が大幅に減ったり入社後のギャップが解消されたりといった目に見える効果や手応えは、なかなか得られにくいのが現状です。

実際に、エン・ジャパン株式会社が「エン派遣」ユーザーを対象に行った調査では、約80%もの人が「入社前後でギャップを感じた経験がある」と回答しています。

Q.面談や面接で聞いたこと・求人情報などから想像していたことと状況が違ったなど、入社前後でギャップを感じた経験がありますか?

出典:エン・ジャパン株式会社2600人に聞いた「就業前後のギャップ」調査

どれだけ時間や労力を注いでも状況が変わらないため、次第に人事担当者自身も「適切なフォローの線引きやどのようなアプローチが本当の着地点なのか」がわからなくなってしまいます。その結果、施策の効果を検証できないままイベントの実施だけが継続し、開催すること自体が目的化してしまうケースが少なくありません。

「手厚くフォローしているのに、なぜか効果が得られない」という悩みの背景には、施策の「量」や「開催頻度」の問題ではなく、人事担当者が良かれと思って整えているフォローの「アプローチそのもの」に見落とされがちな根本原因が潜んでいると考えられます。

良かれと思った「手厚いおもてなし」が当事者意識を奪ってしまう理由

「少しでも不安を和らげたい」「歓迎している気持ちを伝えたい」という人事の温かい配慮。しかし、その思いから内定者を「お客様」として手厚くもてなすことだけに終始してしまう施策こそが、無意識のうちに入社後のギャップを大きくしてしまう要因の一つとなっています。

よく見られる具体例として、以下のパターンが挙げられます。

・居心地の良さを追求した、同期の横のつながりを重視した交流メインの懇親会


・会社の魅力や理念、充実した福利厚生などポジティブな側面を中心に伝える場づくり


・内定者に不安を与えないよう配慮し、先輩社員が過度に優しく接したり、仕事の大変さや厳しい側面に触れるのを避けたりするケア

実際、「ギャップのない就業をするために有効だと思うこと」を尋ねたところ、最も多かった回答は「良い面だけでなく悪い面も教えてくれる会社を選ぶ(63%)」でした。

Q.ギャップのない就業をするために有効だと思うのはどんなことですか?
(複数回答可)

出典:エン・ジャパン株式会社2600人に聞いた「就業前後のギャップ」調査

「居心地の良さ」の追求が引き起こすミスマッチ

こうしたおもてなしは、内定者に「大切にされている」「この会社は楽しい場所だ」という安心感や居心地の良さを提供します。しかし、会社を好きになってもらう、いわゆる「ファンになってもらう」ための過度なおもてなしは、内定者から「当事者意識」を奪ってしまうリスクも潜んでいます。

耳当たりのよい情報ばかりに触れ、お客様としてもてなされ続けた内定者は、「働く自分」としてのマインドチェンジを行う機会を得られません。その結果、入社後に実際の業務や現場の厳しさ、泥臭い側面に直面した際、「聞いていた話と違う」「こんなはずではなかった」という大きなギャップを自分の中で生み出してしまう可能性があるのです。
実際に、先ほどの調査で「入社後にギャップを感じた理由」を見てみると、「職場の雰囲気」や「仕事内容」といった現場のリアルな実態に関する項目が上位を占めています。

Q.ギャップが原因で仕事を辞めたことが「ある」と回答した方に伺います。
退職の原因になった一番のギャップポイントは何ですか?

出典:エン・ジャパン株式会社2600人に聞いた「就業前後のギャップ」調査

このように、懇親会での交流や、説明会で魅力的な話をすることだけに偏ってしまうと、入社後のミスマッチを完全に防ぐことは難しいのが実情です。
裏を返せば、実際の「リアルな業務の進め方」や「現場の空気感」に直接触れる機会を作ることこそが、入社後のギャップを小さくするための重要なカギになるのではないでしょうか。

「主語=会社」から「主語=自分」へ。働く解像度を上げる5つのステップ

なぜこのようなすれ違いが発生してしまうのでしょうか。その大きな原因は、情報の発信側と受信側の間にある「主語の違い」にあります。

人事担当者は、どうしても「主語=会社」で自社の良さを届けようとしがちです。「私たちの会社にはこんなに素晴らしい制度があります」「我が社はこうした社会課題の解決を目指しています」というように、会社を主語にした魅力の発信が中心となります。

一方で、内定者側は無意識のうちに「主語=自分」で情報を受け取っています。「自分はこの制度をどのように活用できるのか」「自分はこの会社でどう立ち回り、どう成長できるのか」という、自分自身を主語とした視点です。

段階的に「働く自分」へ解像度を落とし込む5つのステップ

この主語のズレが生じたままでは、いくら会社のアピールを重ねても、内定者が「現場で自分が働く姿」を具体的にイメージすることは困難です。単に説明を聞いてファンになるだけでは、当事者意識を育むことはできません。内定者フォローで追求すべきは、「会社のファン」で留まってしまう施策から脱却し、「ここで働くこと」の解像度をどこまで高められるかという点にあります。

そのためには、「会社」という抽象的な概念から、段階を追って具体化していくアプローチが有効と考えられます。

【解像度を落とし込むステップ】

①「会社を知る」
会社の概要・理念・魅力を知る

②「仕事を知る」
業務の全体像・目的を理解する

③「働く人を知る」
先輩社員のリアルな動きや思考に触れる

④「現場を知る」
実際の職場環境や業務の難しさを体感する

⑤「自分に置き換える」
自分事として立ち回りや入社後に働く自分をリアルに想像する

「会社」や「人」に関する基本的な情報は、会社説明会やWebサイトなどを通して外部からでも得ることができます。
しかし、「実際に働く」という体験は、その会社に入らなければ得られない、その会社だからこそ提供できる価値です。
会社という大きな枠組みから、仕事、人、現場、そして最終的に「自分」へと段階的に思考を落とし込んでもらうことで、内定者に「歓迎されるお客様」から「働く当事者」への意識の変化を促すことが期待できます。

「見る・聞く・話す・体験する」体験型プログラムの具体策

内定者が「ここで働く自分」の解像度を高める方法の一つが、「体験型プログラム」です。
従来の講義形式や座談会のように、説明を聞くだけの受動的なイベントではなく、「見る・聞く・話す・体験する」機会をつくることで、働く自分を具体的に考えるきっかけをつくることができます。

具体的なプログラムの例として、次のような取り組みが考えられます。

具体例①:「現場を知る」(現場のリアリティを知る)

座学や単なる交流会にとどまらず、実際に先輩社員が日々業務を行っているオフィス・店舗・施設などに足を運ぶプログラムです。
「現場の雰囲気」や「社員の仕事の様子」を実際に見学し、その場で社員へインタビューを行います。
ただ見学して終わるのではなく、「もし自分がこの現場で働くならどう動くか?」を考え、言葉にする(話す)ステップを設けることで、歓迎されるお客様から「働く当事者」へと視点が切り替わります。

≪プログラム設計の例≫

【見る】
オフィス・店舗・施設を見学し、実際の業務フローや社内の雰囲気を見る

【聞く】
現場の社員にインタビューをし、仕事のリアルな声を聞く

【話す・体験する】
見聞きした情報をもとに「自分が働くなら?」を考え、自分の言葉で話すことで現場で働く自分を体感する

具体例②:「仕事を体験する」(仕事の難しさ・判断を知る)

自社の現場で過去に実際に発生した事例や、リアルな課題を題材にしたプログラムです。
「こうしたトラブルや課題に対して、どのような解決策を提示するか」をチームで議論し、自分たちの中の答えを導き出します。その後、現場の方から、ポイントや「実際の現場ではどのような判断をしたか」といったリアルなフィードバックを受け取ります。良い面だけでなく業務の難しさや思考プロセスに触れることで、仕事のリアリティを掴んでもらうことがねらいです。

以上のように自ら動いて参加する体験プログラムへとシフトすることが鍵となります。
これにより、従来の「企業側の魅力を伝える情報共有の場」にとどまっていた入社前イベントを、内定者が「実際の現場で自分がどう立ち回るか」をリアルに体感できる機会へと変えていくことが可能になるのではないでしょうか。

≪プログラム設計の例≫

【見る】
過去の実際の事例や現場で直面する課題を見る

【聞く】
実際にその課題について直接現場の方から聞いて把握する

【話す・体験する】
チームで議論して自分たちの考えを発表し、現場社員の「実際の判断基準」と比較することで、仕事のリアルな判断を体験する

「ファンづくり」で終わらせない。「ここで働く自分」へとつなぐ体験設計を

内定者フォローにおいて検討すべきなのは、「何回懇親会を開くか」「どこまで手厚くフォローするか」という手法や施策の量ではありません。会社の魅力ばかりを伝えて満足してもらう「お客様扱い」の施策から脱却し、内定者自身が「ここで働く自分」の解像度を高められる体験を設計することが重要です。

良かれと思って行っていた手厚いおもてなしが、かえって入社後のギャップを生む原因になっていないか、一度自社のフォロー内容を振り返ってみてはいかがでしょうか。

「会社」から「働く自分」へと段階的に解像度を上げ、体験型プログラムを通して当事者意識を育む。そうしたアプローチへの切り替えが、入社ギャップを減らし、内定者が前向きな覚悟を持って入社の日を迎えるためのひとつのきっかけになるかもしれません。

目的に合わせた体験設計のヒントに!

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