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従業員のモチベーションは
「ご褒美」だけでは持続しない
現代に求められるインセンティブ制度のあり方

公開日:2025年6月11日 企業イベント

「従業員の努力や成果に報いることは重要である」
これは、多くの企業がインセンティブ制度を導入する際の基本的な考え方です。
しかし、価値観が多様化している現代において、従来の金銭や表彰といったインセンティブだけでは、従業員のモチベーション向上に繋がらないと感じている人事担当者もいらっしゃるかと思います。

では、従業員のモチベーションを高めるために、今実施すべきインセンティブ制度とはどのような施策なのでしょうか。
また、従業員が仕事のモチベーションとしていることは、一体どのようなものなのでしょうか。

今回は、インセンティブ制度について深く掘り下げ、現代に求められる制度のあり方を考察していきます。

従業員を取り巻く労働環境とモチベーションの源とは

従業員を取り巻く環境は、時代背景とともに多様な形へ変化を遂げてきました。それに伴い、仕事に対する考え方や、モチベーションを刺激する要素も大きく変わっています。
ここでは、これまで労働環境がどのように移り変わり、従業員がそれぞれの時代で何にモチベーションを見出して働いてきたのかを振り返ってみましょう。

  • 高度経済成長期

    終身雇用が長期的な仕事のモチベーションに

    一度入社した企業に定年まで勤め上げる「終身雇用」と、勤続年数や年齢に応じて昇給・昇進する「年功序列」が一般的でした。長く勤続することで安定した雇用が保証され、徐々に給与や地位が上がっていくという仕組みは、従業員に安心感と将来への期待感を与え、勤労意欲を高める要因となり、従業員の長期的なモチベーションとなっていました。

  • バブル期

    従業員全員へ「豪華なご褒美」を

    好景気を背景に、従業員への「ご褒美」として従業員全員に豪華な社員旅行や特別なイベントを実施して還元していました。 経済的な安心感と会社全体で享受する一体感、そして豪華な旅行という非日常的な体験への期待感が仕事のモチベーションになっていました。そして安定した雇用と「皆で豊かさを分かち合う」という意識、実際に「豪華なご褒美」を楽めるという実感が、従業員の働く意欲を強力に支えていたと言えるでしょう

  • 経済低迷期

    目標達成に対する対価

    経済状況の悪化に伴い、企業はよりシビアに成果を求めるようになり、具体的な目標達成や業績向上に対する直接的な報酬として、成果主義に基づいたボーナス制度やインセンティブプランが導入されました。
    この変化は、従業員のモチベーションが、個人の貢献で評価され、それが直接的な報酬に結びつくことへと移行したことを示しています。経済的な厳しさの中で、従業員は自身の能力や努力が数値として可視化され、それに対する正当な対価を得ることに、働く意欲を見出すようになりました。

  • グローバル化と
    多様化

    仕事の価値観に大きな変化の現れ

    海外の多様な働き方やキャリア観が日本にも取り入れられるようになったことで、従業員は従来の終身雇用や年功序列といった考え方にとらわれず、自身のキャリアやライフプランを主体的に考えるようになりました。またSNSの普及から、多様な価値観に触れる機会が増えたことで、仕事に対する考え方の変化を後押ししました。
    この時期の従業員は、単に安定した職や報酬を求めるだけでなく、自身の成長や自己実現を追求できる環境にこそ、働く意義とモチベーションを見出すようになります。

  • 働き方改革と
    コロナ禍

    個人の価値観を重視するインセンティブへ

    働き方改革が政府主導で推進される中で、予期せぬコロナ禍が発生しました。この事態を経て、多くの人がワークライフバランスをより一層重視するようになりました。 金銭的な報酬や地位だけでなく、自分の時間を確保できる柔軟な働き方や、心身の健康をサポートする制度など、生活の質(QOL)を高めることに繋がる要素を求める傾向が強まっていると考えられます。特に、テレワークの普及は、働き方の多様性を加速させ、個人の働き方や暮らしへの意識を大きく変える一因となりました。

これにより、従業員は、自分の時間を確保できる柔軟な働き方や、心身の健康をサポートする制度など、個人の価値観やライフスタイルに合致する要素に強いモチベーションを感じるようになっています。

このように、次第にキャリアアップやワークライフバランス、自己成長、社会貢献といった自身の価値観を仕事においても重視するようになってきました。それに伴い、仕事へのモチベーションの源泉も、やりがいやライフスタイルに合った多様な働き方といった内容にシフトしてきました。

では、従業員の方は実際にどのようなところに「仕事のやりがい」を感じているのでしょうか。

従業員の仕事のやりがいは「達成感」と「成長性」

年代別の働きがいが上がる要因とは

20代 30代 40代
1位 仕事をすることに
達成感を得ている
仕事をすることに
達成感を得ている
自職場は自身の成長を
支援してくれる
2位 自社が実現したいことを
自身も達成したい
上司は私の目標を明確に
伝えてくれる
仕事をすることに
達成感を得ている
3位 これから自職場の仲間と共に
価値を生み出していきたい
上司は自身の今後の
キャリアに対して支援してくれる
今の仕事は自身の成長に
つながっている
参考:「NEWONE調べ」

NEWONE調べによる年代別の働きがいが上がる要因top10では、20代・30代・40代に共通してtop3に「仕事をする中で達成感を得ている」という項目がランクインしております。

では、達成感とは、どのような要素から感じることができるものなのでしょうか。
以下のようないくつかの要因があると考えられます。

・自己成長と自信
新しいスキルや知識を習得し、自身の成長を実感することで、仕事への自信や手応えを感じること。


・貢献の実感
自身の仕事が組織や社会に貢献していると実感できること。


・他者からの評価と承認
上司や同僚、顧客などから自身の仕事ぶりや成果を認められ、評価されること。

これらの要素は、個人の価値観や仕事に対する考え方によって、重要度の比率は異なりますが、多くの場合複合的に満たされることで仕事に深い達成感を得られると言えるでしょう。
このことから、単に給与を得るだけではなく、目標達成、成長、貢献、意義、自律性、そして他者からの評価といった要素が複合的に絡み合い、内発的な喜びや充実感からもたらされるものが、仕事への強いモチベーションの源泉となる「やりがい」に繋がっていると考えます。

そのため、例えば「一番売り上げた従業員には賞金」といった外発的動機付けで従業員のモチベーション向上を図ろうとしても、仕事のやりがいや達成感を十分に満たすことは難しいと言えます。

働きがいを感じる要素とは

上記で働きがいは複合的に満たされるとお話しましたが、その中でも働きがいをより感じることができる要素はあるのでしょうか。

働きやすさと働きがいの要因について、NEWONE調べによると、さまざまな要因がある中でも、以下の項目は働きがいに有効な項目となります。

・会社ミッションの共感・職場ミッションの共感
ミッションに共感することで、より大きな目標や社会的な意義に繋がっていると実感できます。また、外発的な報酬だけでなく「社会を良くしたい」「人々の役に立ちたい」といった内発的な動機が高まったり、ミッションの実現に向けて新しいスキルや知識を習得したりと、これまでになかった経験を積んだりする機会が増えます。


・成長支援がある環境・成長実感
成長をサポートしてくれる環境があることで「自分はここで成長できる」という期待感を生み出し、将来への不安を軽減します。また過去の自分と比較して、できることが増えたり、考え方が変わったりするなど、自身の成長を実感できることは自己肯定感を高め、モチベーションを高めるきっかけになります。


・強み活用
自分の能力が会社の貢献に直接的に繋がっていると実感できることで、自己肯定感が高まるからです。また、強みを活かすことで成果を出しやすくなる上、意識的に業務に取り組むことでそのスキルはさらに磨かれていきます。
さらに、自身の個性や才能を仕事で表現できるという経験は、自己実現欲求を満たし、仕事への満足度を大きく向上させます。「自分だからこそできる仕事だ」と感じることは、何にも代えがたい充実感をもたらし、日々の業務へのモチベーションを高める原動力となるでしょう。

共通して、仕事を通じて自己成長を実感したり、自己肯定感を高めることができるという部分が挙げられます。これらの要素が働きがいに繋がるのは、まさに人間がより高度な充足感を求める本質的な欲求と合致するからです。その代表的な理論としてマズローの欲求5段階説が挙げられます。

マズローの欲求5段階説によると

マズローの欲求5段階説では、人の欲求が満たされると、より高次の欲求を求めるようになることを示しています。これをインセンティブの観点で分類すると以下のようになります。

この5段階の欲求のうち、承認欲求までは『欠如欲求』と呼ばれます。これらは、自分に足りないものを外部から得ることで満たそうとするため、満たされない状態では不満や不安を感じやすくなります。また、たとえ一度満たされても、その満足感は一時的で長続きしにくいという特徴です。

一方、最上位に位置する自己実現欲求は『成長欲求』とも呼ばれ、これまでの欠如欲求とは性質が異なります。これは、自分の持つ可能性を最大限に発揮し、創造性を活かしながら、絶えず自分を成長させること自体に喜びを見出します。この欲求は達成すればするほど、さらなる高みを目指し続けるという特徴があり、内発的で尽きることのない欲求です。

このことから、インセンティブ制度を考える上でも、自己実現欲求に働きかけることがいかに重要なことか理解できるかと思います。


インセンティブ制度は、承認欲求を刺激することに有効な人事施策ですが、エンゲージメントの高い従業員は、単に評価されたいなどの欲求だけでなく「成長を実感したい」「社会に貢献したい」「自分の可能性を最大限に引き出したい」という内発的な動機を持っています。
そのため、現代のインセンティブ制度においては、従業員の自己実現欲求にアプローチするような制度内容を構築していくことが必要不可欠です。

承認から自己成長を目指せる制度へ

以上の考察から、今後のインセンティブ制度においては、従業員の成長意欲を刺激し、その成長をサポートするような制度へと変化させていく必要があると言えます。
今の制度を否定するのではなく、引き続き従業員の頑張りを認めながらも、それと同時に「この会社であれば、自身の成長が実現できる」と従業員に実感してもらえるような施策にアップデートすることが求められます。

やる気を刺激しながらも自己実現欲求にアプローチする制度に設計するには「何を動機付けの源泉とするか」という点が重要となります。短期的な成果への報酬だけでなく、長期的な成長や自己実現を支援することへの動機付けを行うことで、従業員のモチベーションはより持続的なものとなります。

単に従業員の評価を認めるだけでは、その効果は一時的なものに過ぎません。今後は、従業員が会社でどのように自己実現をしていきたいのか、そのキャリアプランの実現に寄り添ったインセンティブの形を模索していくことが、従業員の長期的なモチベーション向上に繋がるでしょう。


引用:働きがい・働きやすさが上がる要因をランキング形式で公開
https://new-one.co.jp/news/18701/

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