新しい修学旅行・研修旅行のカタチ
SDGsを取り入れるなど時流に合わせた新たな試みを盛り込みながら、旅の楽しさを残したまま、学生自らが主体的に学び、解決していく探求型修学旅行を提案いたします。

私たちが暮らす日本は今、歴史的な転換期を迎えています。
街を歩けば外国人の方々を見かけない日はなく、もはや日常の風景となりました。
こうした中、私たちはお互いの文化を尊重し、手を取り合って生きていくための準備が果たしてできているでしょうか。
今求められているのは、単なる受け入れではなく、持続可能な「共生」の仕組みづくりです。
深刻化する労働力不足という現実に目を向け、言葉と心の壁を解決の鍵となる「やさしい日本語」の可能性を探ります。そして、それが教育現場や地域社会にどのような新しい価値をもたらすのかを旅行会社としての視点から、その具体的なあり方を提案いたします。
日本では少子高齢化に伴い、生産年齢人口の減少が加速しています。
パーソル総合研究所と中央大学による「労働市場の未来推計2035」によれば、2030年以降、労働需給の逼迫はより深刻さを増すと予測されています。
2035年には、1日あたりの労働需要に対し、供給が大幅に不足。およそ384万人分の労働力が不足する計算となります。
出典:パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2035」(2024年10月)より
この危機的な状況において、外国人材の存在は日本社会にとってはもはや不可欠です。
近年、コンビニエンスストアや建設現場などで外国人スタッフの姿を目にすることは日常の光景となりました。
厚生労働省のデータ(2025年10月末時点)によれば、外国人労働者数は前年比より12.4%増の約257万人に達しました。これは届出が義務化されて以来、過去最多を更新し続けている数字です。
以下の表が示す通り、さまざまな業界で外国人スタッフが欠かせず、戦力となっていると言えます。最も割合が高いのは製造業ですが、サービス業や小売業でも導入が進んでいます。
特に、人手不足が叫ばれる建設業や介護業においては、新たな在留資格(特定技能)の普及もあり、外国人材を積極的に受け入れる動きが加速しています。
出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)より
私たちは今、外国人材を一時的な労働力としてではなく、持続可能な社会を共に築く「隣人」として受け入れる転換期に立たされていると考えております。
外国人が生活者として身近になる一方で、共生は簡単ではありません。
近年、都内をはじめ各地で民泊の騒音やゴミ出しといったトラブルに関する苦情が急増しています。その背景にあるのは単なるマナー違反だけではありません。日本の日常生活に溢れる難しい漢字や敬語、あるいは文脈の独特の表現が、正確な情報伝達を阻んでいるのです。
外国人住民にとって、これらを正確に理解することは容易ではありません。情報の不一致が相互理解を妨げ、結果として意図せぬ「心の壁」や、地域社会からの孤立を生んでしまっているのが現状です。
この「心の壁」を解消し、円滑なコミュニケーションを図るための有効な手段が「やさしい日本語」と考えております。
「やさしい日本語」とは、普通の日本語よりも簡単で、外国人にもわかりやすい日本語のことです。
東京都生活文化局の定義によれば、「やさしい日本語」とは、難しい言葉を言い換え、相手に配慮したわかりやすい日本語のことを指します。
そのルーツは、1995年の阪神・淡路大震災にまで遡ります。当時、「避難」や「警報」といった言葉の意味が瞬時に理解できず、多くの外国人が被災しました。
こうした災害発生時に、誰もが適切な行動をとれるようにと考案されたのが始まりです。
変換の際は、情報の優先順位を整理し、一文を短く区切ることが重要です。
また、災害時によく使われる言葉や、覚えておくと役立つ言葉などは、あえてそのまま使用し、直後にかっこ書き( )で意味を補足します。
加えて、すべての漢字にふりがなを振ることも、相手への配慮として欠かせない基本ルールとなります。
・余震が起きるおそれもあるため、余震に対して十分に注意してください。
→ 余震(後から来る地震)に気をつけて ください。
・地震の揺れで壁に亀裂が入ったりしている建物
→ 地震で壊れた建物
・おかけになってお待ちください。
→ そこで椅子にすわって、 待っていて ください。 この番号を呼んだら、 来てください。
番号はあそこに出ます。
出典:静岡県 県民生活局 多文化共生課(平成 30 年2月発行)静岡県庁 「やさしい日本語」の手引き
上記の例のように「やさしい日本語」とは、単なる言葉の置き換えではありません。難しい言葉をかみ砕き、一文を短く区切る。そんな少しの工夫、歩み寄りが、相手への大切な「思いやり」になります。日頃の話し方をほんの少し意識するだけで、外国人とのコミュニケーションのハードルは下がり、対話はぐっとスムーズに変わります。
現在、コロナ禍を経て、異文化・国際理解を目的とした修学旅行が再び増加しています。
全国修学旅行研究協会の調査(2023年時点)では、43都道府県で359校もの高校が海外修学旅行を実施しました。
| 区分 | 計 | 公立 | 私立 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 実施 校数 |
旅行 件数 |
参加 生徒数 |
実施 校数 |
旅行 件数 |
参加 生徒数 |
実施 校数 |
旅行 件数 |
参加 生徒数 |
|
| 2023(令和5) 年度 |
359 | 510 | 49,354 | 123 | 148 | 15,559 | 236 | 362 | 33,795 |
| 2022(令和4) 年度 |
58 | 83 | 5,111 | 9 | 10 | 654 | 49 | 73 | 4,457 |
出典:全国修学旅行研協会 海外修学旅行 実施状況 (公私立高等学校)
従来の国際交流では「英語」が共通言語の主流でありますが、今回は「やさしい日本語」での交流をご提案いたします。
今後を担う若い世代にとって、外国人との交流が増える中で「やさしい日本語」を活用することは日本における共生社会の実現に向けた重要な学びとなります。
・基礎レクチャー
専門講師より「やさしい日本語」の背景と基礎知識を学びます。
・演習(ワーク)
学んだ知識を活かし、言い換え・書き換えの練習問題に取り組みます。
・実践ワークショップ
外国人とのグループワークを通じて「やさしい日本語」での説明を実践。
(ワーク、ワークショップの内容は修学旅行先や交流シーンに合わせてカスタマイズが可能です。)
「やさしい日本語」は、相手を思いやる想像力や課題解決力を育む学びの入口です。修学旅行での経験を地域課題の解決へと還元し、外国人や高齢者、障害者と共に生きる「インクルーシブな社会」を築く原動力となります。
旅行会社の使命は、旅の手配を越え、この学びを通じて人と地域を繋ぐことにあります。
「やさしい日本語」の普及により心の壁を取り払い、多文化共生社会を実現することは、誰もが安心して暮らせる未来への確かな一歩です。次世代にこの価値を託し、社会貢献とリーダー育成を両立させることで、持続可能な地域社会の創造に貢献してまいります。
「やさしい日本語」の普及こそが、心の壁を取り払い、多文化共生社会を実現するための確かな第一歩になると、私たちは確信しております。
株式会社エイチ・アイ・エス
法人営業本部 教育旅行事業グループ
髙瀨 ゆみこ