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「見守り人事」を打破する!
OJT依存から抜け出す社内教育の新常識

公開日: 企業イベント

「主体性のある人材を求めている」

今、多くの企業の人事担当者が、口を揃えてそう語ります。しかし、その理想を掲げる一方で、社内教育の実態は「基本的な研修を実施した後は、現場のOJT任せ」という旧態依然とした構造から脱却できていません。現場が多忙を極める中で、教えられるのは「目先の作業手順」が精一杯。このような教育だけでは、どんなに理想の人材像を掲げても、「自分事化する」「問いを立てる」「越境する」といったマインドセットを持つ人材を育てることは困難です。

なぜ、今の教育システムでは主体性のある人材が育たないのか、そしてAIが「平均的な正解」を瞬時に導き出す時代において、人間ならではの価値をどう育むべきなのか。
本コラムでは、組織の成長を加速させるための「教育の再定義」と、人事が担うべき新たな役割について深掘りします。

なぜ今、従業員に「主体性」が不可欠なのか?

これまで多くの現場では、膨大な知識を蓄え、指示を正確に理解し、ミスのない作業を完遂できる人材が優秀な人材でした。しかし、AIが「予測」や「効率化」において圧倒的な力を発揮するようになった今、これまでの「優秀な人材の定義」は、その前提から根底的に問い直されています。それは、「優秀さ」を構成していた要素が、AIによって以下のように上書きされているからです。

「正解」のコモディティ化
業務の進め方や知識は、今やネットやAIですぐに手に入ります。誰もが「平均的な正解」を持てる時代において、他社と同じことを正確にやるだけでは、企業として利益が出せなくなっています。


変化のスピードと「正解」の短命化
現場で今日教えた「正しい手順」が、半年後には技術革新や市場の変化で「古いやり方」になる時代です。そんな中で、ルーティンワーカーばかりの組織は、変化に対応できず立ち往生してしまいます。

これからの時代、企業が求めるのは、AIが提示する「過去のデータの延長線上にある正解」をなぞることではありません。「自ら問いを立て、AIを使いこなし、これまでにない価値を創り出す力」であり、それこそが、AI時代に組織を前進させる唯一のエンジンとなります。

現場教育のリアル:構造が生み出す「教育の限界」

「主体性」の重要性は理解していても、実際の教育現場はどうでしょうか。そこには、以下のような「構造的な欠陥」が存在します。

「受動型」の実務教育
現場の最優先事項は、何よりも目の前の業務を完遂させることです。OJT担当者も自身の業務を抱えながら教育をしなければならないため、教育はどうしても「問題が発生してから教える」という後手に回らざるを得ません。結果として、指導の内容は「目先の課題をクリアするための作業手順」に終始してしまいます。未来への投資や視座を高めるための対話など、介在する余地がないのが現実です。


指導の「ガチャ」化
従業員の成長が配属先の「運」に左右されるという深刻な状態は、教育の質が指導者の力量やキャパシティに完全に依存していることから生じます。配属先によって成長スピードに致命的な差が生まれ、多忙すぎる部署に配属された従業員は、指導者が目の前の業務をこなすことに追われ、適切な教育をする余裕がないという理由により事実上「成長の機会」を奪われてしまいます。運任せの育成体制では、組織として均質な人材輩出など望むべくもありません。

「研修の次は、現場のOJT」という図式は、長く日本の人材育成を支えてきた「王道の育成方法」です。しかし、現場に委ねすぎる社内教育は、今や「構造的な限界」を迎えつつあります。変化の激しい現代において、このサイクルを漫然と続けることは、組織に以下のような致命的な「2つの機会損失」をもたらします。

モチベーションの枯渇と「作業員化」
「教えられた通りに動くこと」が評価のゴールになると、仕事で自ら工夫する喜びが失われます。スタッフは次第に思考を停止し、主体性と引き換えに仕事への熱量をすり減らしていくことになります。


AIに代替される「正解」だけの育成
「手順通りに進める」だけの業務は、真っ先にAIが代替する領域です。「言われたことを正確にやる」習慣が染み付いた人材は、これからの時代、その「真面目さ」ゆえに市場価値を急速に失うという皮肉な結末を迎えることになります。

このように、現場に依存しきる教育体制は、スタッフを「ミスのない優秀な人材」にすることはできても、新たな価値を生む人材へと昇華させることはできません。
こうした機会損失をなくすために、今、人事が向き合うべきは、自ら考え、感じ、試行錯誤する中で生まれる「その人ならではの視点」や「問いを立てる力」を育むことです。

『「正解」を教えることを超え、「価値の生み出し方」を共に探求すること。』

それこそが、これからの時代に人事が担うべき教育の本質であり、AIには決して真似できない、組織にとっての真の資産となります。

「理想」と「現実」のギャップを埋める育成方法とは

では、どのように社内教育をアップデートすればいいのでしょうか。
今、人事がまず着手すべきは、これまでの「バトンを渡して終わり」という限定的な役割を超えていくことです。

主体性は、日々のルーティンワークの延長線上には宿りません。座学で「主体性を持ちなさい」と説いたところで、身に付くものでもありません。ですが、現在の社内教育の方法では、成長の核となるマインドセットを育てる指導者が不在となっています。

だからこそ、人事は「現場のサポート」というポジションを脱し、現場と同じ熱量で教育の最前線に立つ必要があります。

「理想の人材像はあるのに、育てる仕組みがどこにも存在しない」という致命的な欠陥を埋める鍵は、現場と人事における「教育のベクトル」の完全な切り分けにあります。

現場
業務に直結する即戦力となる「実務スキル」を伝承する


人事
本質的な課題解決を導く「思考プロセス」を構築する

この「実務」と「思考」という二つのベクトルが掛け合わされて初めて、AIには導き出せない「最適解」を生み出せる、真に自律した人材が育つのです。

人間ならではの能力こそが、企業最大の差別化ポイントになる

誰でも瞬時に「平均的な正解」を手にできる今の時代において、知識の量や作業の正確性でAIと差をつけることはもはや不可能です。
だからこそ、人間ならではの能力をいかに引き出し、組織の力に変えていくか、これこそが、企業の唯一にして最大の差別化ポイントとなります。

人事が「現場のサポート役」という殻を破り、従業員の「思考」と「感性」を研ぎ澄ますためのパートナーへと進化すること。
現場が「やり方」を教え、人事が「価値の生み出し方」を導く。

この両輪が揃ったとき、組織にAIには決して代替できない、独自の輝きを放つ「価値」が芽生え始めます。 「理想」と「現実」のギャップを埋めるのは、制度でもツールでもありません。人事にしかできない、人間への深い投資、その熱量こそが企業の未来を創り出すのです。

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