家族の笑顔が社員の力に!
個人型インセンティブ旅行で実現するエンゲージメント向上
社員一人あたり10~15万円の旅行補助を提供する「個人型インセンティブ旅行」制度を利用した社員の反応、実施後に得られた効果について、担当者の方にお話を伺いました。

「家庭の事情で、退職します」その社員の「離職」は、本当に仕方がないことなのでしょうか?
残業を減らし、有休取得を推奨し、リモートワークなどの柔軟な環境も整えた。いわゆる「ホワイト企業」としての条件は十分に満たしているはずなのに、なぜか社員が静かに去っていく。
そんな時、多くの人事担当者は「プライベートの領域には踏み込めない」「家庭の事情と言われたら、もう人事にできることは何もない」と感じてしまうのではないでしょうか。 パートナーの急な転勤、集中した介護の必要性、あるいは自身の健康問題など、どうしても抗えないものもあります。これらは制度や配慮だけでは解決しきれない、やむを得ない離職です。企業として、その決断を尊重し、温かく送り出すべき場面は確実に存在します。
しかし一方で、「これ以上、家族に無理をさせてまで続ける価値があるのか」など、家族との関係性の摩擦から生じる離職に対しては対策できることはあるのではないでしょうか。 家庭の事情による離職のすべてが不可抗力なのではありません。企業側が「家族」というステークホルダーを不可侵領域として遠ざけてきた結果、生じている摩擦も存在します。 ホワイト企業という名の「ドライな関係」を脱し、社員が「働きたくなる理由」を家族と共に作る。そこに、働き方改革の手詰まり感を打破する鍵があります。
なぜ今、人事が社員の「家族」にまで意識を向ける必要があるのでしょうか。そこには、労働者を取り巻く「生活構造の変化」があります。
かつての「一家の大黒柱」モデルが一般的だった時代、家族は仕事の背後に控える存在であり、仕事の内容や負担が家庭に直接的な影響を及ぼすことは限定的でした。しかし、共働き世帯が一般化した現代、その構図は変わりました。
現在、多くの社員にとって仕事は「個人完結」のものではありません。残業や突発的な出張は、即座にパートナーの家事・育児負担、あるいは介護負担へと直結します。
また、キャリアの選択が、家族内の生活を圧迫する可能性も秘めています。つまり、誰かが働くということは、家族みんなのリソース(時間や体力)を配分していることになります。
家族が、仕事の専門的な業務や商談の成否について口を出すことはほとんどありません。しかし、その仕事が「大切な人にどのような影響を与えているか」については、誰よりも敏感です。
「毎日疲れ切って帰ってきていないか」「休みの日も仕事のストレスでイライラしていないか」、そして「家族のための時間が仕事に奪われていないか」。家族はこうした変化を日常の中でつぶさに見ています。
もし、家族から「そこまで無理をして働き続ける必要がある仕事なの?」という言葉が漏れたとき、社員の退職を考えるきっかけとなり得ます。家族の理解や納得が得られない職場は、たとえ給与などの条件が良くても、社員にとって「働き続けることが難しい環境」になってしまう可能性があるのです。
さらに、今の若手世代は働くことへの価値観が大きく変化しています。「家族を犠牲にしてまで働く」ことを立派だと考える人は少なくなり、むしろ家族との時間をしっかり確保できることが、仕事へのやる気に直結しています。
こうした価値観を持つ社員にとって、会社が自分の家族を「仕事には関係のない存在」と切り離して考えるのか、それとも「社員を共に支える大切な存在」として尊重してくれるのか。会社側の姿勢の違いは、社員がその会社を信頼し、「ここで長く働きたい」と思えるかどうかに、非常に大きな影響を与えることになります。
多くの企業が働き方改革において、「休みを増やしたのに、エンゲージメントが上がらない」という壁に突き当たります。この現象を解き明かす上で非常に有効なのが、アメリカの心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した「二要因理論」です。
ハーズバーグは、仕事における満足度には「衛生要因」と「動機付け要因」の2つがあると考えました。
「衛生要因」とは、給与、労働環境、福利厚生、休暇制度といった、インフラのようなものです。これらが不足すると、社員は強い「不満」を抱きます。しかし、重要なのは、「衛生要因がいくら満たされても、それは不満がなくなるだけであって、意欲が高まるわけではない」という点です。
例えば、蛇口をひねれば水が出ることに対して、私たちは日々感謝し、感動することはありません。それと同じように、残業が少ないことや有休が取れることは、一度当たり前になってしまえば、それだけで「この会社のために頑張ろう」という情熱を生み出す源泉にはなり得ないのです。
一方で、「動機付け要因」とは、承認、達成感、仕事そのものへの意味付け、そして周囲からの感謝などです。これらが満たされることで初めて、社員は自発的な意欲を燃やします。
ここに、家族を巻き込む意義があります。会社側が「社員がどのように社会に貢献しているか」「会社がどれほど家族の支えを大切に思っているか」を可視化し、伝える機会を作ること。それによって、家族が「あなたの仕事は価値があるね」「この会社なら、大変な時も応援したい」と思えるきっかけが作れます。
家族が「心理的なバックアップ(一番の理解者)」となったとき、社員にとっての「働きやすさ(衛生要因)」は、単なる条件ではなく「家族と共に享受できる誇らしい価値(動機付け要因)」へと昇華されます。家族の理解があるからこそ、困難な状況でも「もう一踏ん張りしよう」と思える。これこそが、数値化しにくい真の定着力、すなわちエンゲージメントの正体なのです。
では、具体的にどのように家族へとアプローチすべきでしょうか。企業の文化や規模、フェーズに合わせて選択できる、3つの視点からの施策をご紹介します。
最もシンプルで、かつ心理的な距離を縮めるのが「言葉を届け合う」ことです。
メッセージの送付と「家族の声」の傾聴
年度の変わり目や昇進のタイミング、あるいは社員の記念日といった節目に、家族宛のメッセージを贈ります。
「いつも支えてくださりありがとうございます」という一言があるだけで、家族側の会社に対する印象は大きく変わるものです。
さらに「ご家族から見た、今の働き方への期待やご意見」を募る機会を設けることで、会社が社員だけでなく家族の意見にも耳を傾けている姿勢が伝わります。
この「自分たちも尊重されている」という実感が、家族の安心感、会社への信頼感へと繋がっていきます。
「家族から社員へ」逆方向のメッセージ
逆に家族から社員へのメッセージを募るような企画は、本人の業務への意欲を大きく引き出すきっかけになります。「いつもお仕事がんばってくれてありがとう」という家族からの言葉は、本人の心に響き、日々の業務に新たな意味を与えてくれるはずです。
情報の共有
社外秘ではない範囲で、自社がどのような社会貢献をしているか、どのようなビジョンを持っているかを、家族も閲覧できるWEB記事や社内報で発信します。「家族の仕事は、こんなに誰かを幸せにしているんだ」という実感を、家庭内に届けられる環境を作ることが重要です。
これらは、会社が社員という「個人」だけでなく、その背後にいる「家族」という存在を正しく認識し、尊重していることを示す重要なシグナルになります。
言葉以上に強力なのが「体験」の共有です。職場という「ブラックボックス」を解消することで、家族の不安を安心へと変えていきます。
職場参観(ファミリーデー)の開催
社員の家族をオフィスに招き、実際に働いている場所や、共に働く仲間を紹介します。「どんな人たちと働いているのか」が見えるだけで、家族の安心感は飛躍的に高まります。
また、子供たちが親の働く姿を見て「カッコいい」と感じる機会を作ることは、社員自身の仕事に対するモチベーションにも繋がります。
仕事の成果が、家族にとっての具体的なメリットとして還元される仕組みをデザインします。
インセンティブとしての「時間」と「体験」
成果を出した際の報酬を、金銭だけで終わらせない工夫です。
「家族でゆっくり過ごしてほしい」というメッセージと共に、宿泊券や食事券を贈る、あるいは企業主催の報奨旅行に家族の同伴を可能にするなどの施策です。
これらにより、会社は「家族の時間を奪う存在」から「家族に豊かな時間を提供してくれるパートナー」へと、その立ち位置を変えることができます。
これからの人事担当者に求められるのは、単に制度を整えることだけではありません。働く社員がいかに周囲からの理解を得て、誇りを持って歩み続けられるかという「情緒的な導線」をデザインすることです。
家族は、社員のパフォーマンスと離職の鍵を握る、最も身近で強力なステークホルダーです。家族を「一番の理解者」に変えるためのアクションは、必ずしも多額の予算が必要なものばかりではありません。日々の小さな積み重ねが、「この会社で働くことへの誇り」という強い動機を生み出し、家族からも、そして社員自身からも選ばれ続ける「強い組織」へと変わるきっかけとなります。
まずは、社員の背後で日々を支えている「家族」という存在に、心からの感謝を伝えることから始めてみてはいかがでしょうか。その一歩が、貴社の組織文化を根底から変える、新しい働き方改革の始まりになるはずです。