皆さん、突然ですがエストニアという国をご存知でしょうか。
あまりなじみのない国かもしれませんが、バルト三国の1つで、豊かな自然と森に囲まれた国です。
エストニア人は季節の木の実やキノコなどを森に採りに行くことが日常で、週末には家族で森や湖でピクニックを楽しみます。
そんな自然を大切にしているエストニアですが、近年IT産業やスタートアップ企業の視察先として人気が高まっている国なんです。
あのSkypeが開発された国であり、他にも様々なスタートアップ企業が生まれているエストニア。
2020年8月にはデジタルノマド用のビザも発表され、諸外国のデジタルノマドからも大きな注目が集まっています。
※デジタルノマドとはITを活用して仕事をしながら旅をする人やライフスタイルのこと。
国の行政サービスの99%が電子化されていることから電子国家と呼ばれています。
今回はそんなエストニアの基本情報と電子国家と呼ばれる所以をエストニアでの実体験と共にご紹介します。


△エストニアの森でとれたキノコ/ラヘマー国立公園(撮影:神澤)
エストニア基本情報
まず、エストニアの基本情報についてご紹介します。
面積:約45,000㎢
人口:約132万人
首都:タリン
首相:ケルスティ・カリユライド(Kersti Kaljulaid)
エストニア共和国はバルト三国の一つであり、1918年に帝政ロシアより独立する形で建国された北ヨーロッパにある共和制の国家です。
2007年に他国から世界初の大規模なサイバー攻撃が行われ、国全体のインターネット機能が麻痺したことをきっかけに政府の電子化が進んでいきました。
※2008年にはNATOサイバーテロ防衛機関であるNATOサイバー防衛協力センターが首都のタリンに創設されています。
現在、行政サービスの99%が電子化されていることから「電子国家」と呼ばれており、行政サービスは24時間年中無休で利用できます。
国民一人一人に付与されている電子ID(eID)を使用することで医療記録へのアクセスやオンライン投票など、幅広いサービスをオンラインで利用することが可能です。
結婚・離婚・不動産売買以外の手続きはオンライン上で行う事が出来ます。
世界初のオンライン投票の導入や、国民IDシステムの管理にブロックチェーンの技術を活用するなど、世界に先駆けて行政の電子化を進めています。

△タリン旧市街(撮影:神澤)

△エストニアの地図(出典元:外務省ホームページ)
e-社会の指標
次にエストニアの社会にどのくらいインターネットが浸透しているかをご紹介します。
※グラフ④のe-residencyとは、エストニアに居住していない人に電子居住権を与えるサービスです。e-residencyのステータスを取得することでエストニア国外からエストニアの現地法人を設立することが可能になります。
これらのデータからも分かるように、生活の中にインターネットが浸透しており国民のほとんどが日常的にインターネットを利用して行政手続き等を行っています。
行政サービス以外にも銀行振込はオンライン送金がメジャーであったり、処方箋の発行はほとんどがオンライン発行されている等オンラインで手続きを行う事が一般的になってきています。
エストニアは国土の広範囲に人が住んでいる為、インターネットで情報をつなぐことで生活がとても便利になったそうです。暮らし方にも変化があるようで、首都タリンの中心部から地方都市に移住した友人から聞いた話では、「生活に必要なことや仕事がオンラインでほとんど出来てしまうので不自由はなく、余暇で自然を楽しめるので街にいた時よりもストレスが有りません。」と言っていました。
エストニアの人々は小さいころからインターネットに触れる機会が多く有ります。
小学校ではe-schoolという教育クラウドを導入しており、インターネットに関する授業や、プログラミングの授業などが盛んに行われています。また、インターネットに馴染みの薄い高齢者には町や村の公民館のような場所でインターネットの講習が定期的に行われているそうです。
現地の高齢者の方は、パソコンやスマートフォンを使いこなしていました。
余談ですが、エストニアはキャッシュレス化がとても進んでいます。現地でとても驚いたのは、クリスマスマーケットの出店や街のアイスクリームカートでもクレジットカードやID決済が出来たことです。現地で生活していて、現金を使う事はほとんどありませんでした。
有人の銀行窓口が少ないので現地で両替をしようと思うととても大変です。ご注意下さい!

△グラフ①/グラフ②

△グラフ③

△グラフ④
※データ出典元:https://e-estonia.com/
最後に…
エストニアでは、生活のあらゆる場面でオンラインのネットワークが利用されています。
現地で生活しているときは、何かとオンライン化が進んでいることで暮らし方の自由度がとても高く、最近耳にするワーケーションのように好きな場所で仕事や勉強をして暮らしている人が多い印象でした。
HISでは「オンラインでの海外視察」サービスもご提案可能です。現地に足を運ぶ事が難しい今日、オンラインでe-社会を視察・体験してみてはいかがでしょうか。

△タリン旧市街で実際にクレジットカードが使えた出店(撮影:神澤)
左:城壁沿いにあるニット屋さんで夕方になると屋台はたたまれてしまいます。
右:約1か月間開催されているクリスマスマーケットの出店です。