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サステナビリティは、ボランティア?
―現場の「特別視」を卒業し、「稼ぐ戦略」へ再定義する

公開日: 企業イベント

「また、本業とは別の『余計な仕事』が増えた……」

もし現場からそんな声が聞こえてきているとしたら、その組織のSX推進は、大きな勘違いの入り口に立っているかもしれません。

現在、多くの日本企業において「サステナビリティ」という言葉を聞かない日はありません。経営陣主導で急ピッチな体制構築が進められ、新たな専門部署を設置。ステークホルダーに向けては、完璧な回答としての統合報告書をまとめ上げる。一見、順調であるかのように映ります。

しかし、その舞台裏を覗いてみると、担当者たちは理想と現実のあまりの乖離に、「戸惑い」を抱えています。なぜ、良かれと思って進める活動が、現場では「ボランティア的な追加負担」として敬遠されてしまうのでしょうか。

その原因は、「サステナビリティ」という概念と、「SX」という変革プロセスが混同されていることにあります。

「サステナビリティ」と「SX」を正しく整理する

本題に入る前に、この2つの言葉の役割を明確に分けましょう。

サステナビリティ
企業が10年、20年先も生き残るための「前提条件」であり、目指すべき「状態」のこと


SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)
社会の持続可能性(サステナビリティ)を考慮しながら、企業の稼ぎ方のモデルをアップデートし、「企業の持続可能性」と「社会の持続可能性」を両立させる変革のこと

つまり、サステナビリティは「なぜ変わるのか」という目的であり、SXは「どう稼ぐか」という具体的な戦略なのです。これを混同し、単なる環境活動や報告作業を「サステナビリティ推進」と呼んでいる限り、現場にとっては「本業以外の付随業務」に見えてしまいます。

「必要性」は感じている。なのに、動けないのはなぜか。

サステナビリティ/SXへの取り組みは、
現在どのフェーズにありますか?

当社が2026年2月に開催した、SX推進をテーマにしたセミナー(※1)の申込時に実施したアンケートでは、SXへの取り組みについて「必要性は感じているが、具体策はこれから」と答えた企業は45.8%に達しました。注目すべきは、重要性を否定する声ではなく、「重要性は理解しているが、動けない」というジレンマです。約半数の企業が、最初の一歩を模索したままでいる、これが今のリアルな現在地なのです。

では、なぜこのように多くの企業が、必要性は感じているにも関わらず、SX推進に足踏みをしてしまうのでしょうか。

(※1)出典:当社主催セミナー「MS&AD×コクヨが語る、SXを『本業』へ実装する組織の作り方—— 事業成長と社会価値の統合プロセス(2026年2月開催)」申込時アンケート結果(n=73)

「別業務」という認識が、実装を阻む最大の壁になる

サステナビリティ/SX推進において、
最も「手強さ」や「課題」を感じていることは何ですか

さらにアンケート(※1)の結果を見てみると、サステナビリティ/SX推進における課題として、多くの企業が頭を悩ませている「二大要因」が浮かび上がりました。

まず挙げられたのが、「事業との接続(28.8%)」です。
本来、SXとは、短期的な利益を削ることではなく、「長期的な視点で利益を最大化する戦略」のはずです。しかし、現時点で利益を上げている現場にとって、利益を生んでいる目の前の業務を止めてまで、実態の見えない「未来の貢献」に取り組むメリットを感じにくいのです。

そして、この「本業との距離感」に拍車をかけているのが、僅差で続く2位の課題、「『総論賛成・各論反対』で現場が動かない(22.0%)」という現実です。
いざ実務に落とし込もうとすると、現場からは以下のような反発が返ってきます。

「本業にプラスして、よく分からない新しい業務が降ってきた」
「ただでさえ人手不足で忙しいのに、工数だけが単純に増えた」
「今の稼ぎ方を否定されているようで、面白くない」

最大の懸念は、既存事業の「延長線上」として語られず、完全に別の仕事・追加の負担として認識されていることにあります。
誰しも、自分の評価や明日の売上に直結しない「余計な仕事」と判断した場合、ブレーキをかけます。そのためサステナビリティに対して「本業を邪魔する存在」という空気感が組織を覆っている限り、担当者は社内で「理想論ばかりの異物」として扱われ続けます。

そして従業員の中では、まだまだサステナビリティやSXへの考え方が、本来の「経営戦略」ではなく「余裕がある時にやる善行」と認識されており、ボランティア的感覚が強いと言えます。この誤解があるからこそ、現場は既存事業の延長線上として捉えることができず、「本業を邪魔する、余計な追加業務」というマイナスの感情に支配されてしまうのです。

(※1)出典:当社主催セミナー「MS&AD×コクヨが語る、SXを『本業』へ実装する組織の作り方—— 事業成長と社会価値の統合プロセス(2026年2月開催)」申込時アンケート結果(n=73)

「社会貢献」から「稼ぐための戦略」へ変える

SXとは、単に環境に優しい活動や、SDGsのバッジをつけることではありません。

「サステナビリティを、事業を存続させるための中長期計画そのものとして統合し、稼ぎ方のルールをアップデートすること」

これが、SXの本質です。「社会にいいこと(利益の外側にあるもの)」と考えているうちは、拒絶反応が出るのは、ビジネスマンとして極めて健全な反応です。

前章でも述べた通り、本来の姿は「自分たちの会社が、10年後、20年後も今と同じように、あるいは今以上に誇りを持って稼ぎ続けるために、今、何を変えるべきか」。その問いを突き詰め、現在の業務を未来の市場環境に適応させていくプロセスこそが、SXなのです。
そのためには、思考のスイッチを切り替える必要があります。 特別な新規プロジェクトを立ち上げる必要はありません。今ある「中長期経営計画」を、未来の視点で点検してみるのです。

「10年後、自社の製品は市場で「普通」とされているか?」
「10年後、優秀な人材から「選ばれる会社」であり続けているか?」

これらを考えることは、ボランティアではなく経営戦略そのものであり、現場の仕事の「延長線上」にある課題です。現在の利益を守るあまり、未来の利益の芽を摘んでいないか。サステナビリティ推進担当者の真の役割は、この「今」と「未来」の断絶を繋ぐことにあります。

ボランティアを「変革」に書き換える一歩

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の「X(変革)」とは、特定の部署が孤独に奮闘することではありません。それは、サステナビリティを経営のど真ん中、すなわち「中長期経営計画」の核心へと据え直すことです。

「やらなければならない」という義務感は人を疲れさせますが、「自分たちの未来を創る」という目的は人を動かします。

まずは一度、「社会のために」という主語を手放してみてください。代わりに、「10年後、100年後もこの会社が今より強い組織として勝ち残るために、今、稼ぎ方をどう磨き直すべきか」という切り口で、現場のリーダーたちと対話を始めてみてください。

そのとき、あなたの役割は現場から煙たがられる「理想論を語る人」ではなく、5年後、10年後の会社を支える新しい武器を、現場の仲間と一緒に作り上げる「心強いパートナー」へと変わっているはずです。

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