“正解探し”から“気づき探し”へ
――体験型研修の新提案

INDEX
成果を求められる現場で
――人事・研修担当者の“正解主義”という課題
「この研修、本当に意味があるのだろうか?」
人事や研修担当者の方なら、一度はこんな疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。
企業の人材育成を担う立場として、経営層や現場から「成果」を強く求められるプレッシャーは大きいものです。
「研修の成果をどう可視化するか」「本当に社員の成長につながっているのか」――そんな不安や焦りから、つい“正解探し”を重視した研修プログラムを設計しがちです。
従来型の研修は、知識やスキルを体系的にインプットし、決められたゴールに向かって進めるものが主流でした。
「この内容を覚えればOK」「この手順を踏めば成果が出る」――そんな“正解探し”の研修は、短期的な知識定着には一定の効果があるかもしれません。
しかし、現場での応用力や自発的な行動変容、本質的な成長にはなかなか結びつかないという課題が浮き彫りになっています。
実際、研修後のアンケートで「内容は理解できたが、実際の業務でどう活かせばいいかわからない」「受け身で終わってしまった」という声が多く聞かれるのも事実です。

今、企業の人材育成現場では「正解探し」という既成概念から、「気づき探し」へと発想を転換することが求められています。
さらに、現代のビジネス環境は変化が激しく、過去の“正解”がすぐに通用しなくなる場面も増えています。
新しい市場や価値観、多様な働き方が広がる中で、社員一人ひとりが自ら考え、柔軟に対応できる力がますます重要になっています。
そのため、単に知識を詰め込むだけでなく、未知の課題に直面したときに自分なりの答えを導き出せる「気づき力」や「探求心」を育てることが、これからの研修には不可欠です。
ラーニングピラミッドが示す、体験型・参加型学習の効果
では、なぜ「気づき探し」が重要なのでしょうか?
そのヒントとなるのが、教育理論の一つである「ラーニングピラミッド」です。
ラーニングピラミッドは、学習方法ごとの“学習定着率”を示した理論です。
例えば、講義や読書など受動的な学習は定着率が5~10%程度とされる一方、グループ討議や実践、他者への教示といった能動的な学習は定着率が50~90%にも達すると言われています。
つまり、「聞くだけ」「読むだけ」ではなく、「自分で体験し、考え、他者と関わる」ことで、学びは深く定着しやすくなるのです。
この理論は、従来型の一方向的な研修よりも、参加型・体験型の研修が圧倒的に効果的であることを裏付けています。

そして、体験型研修の代表例が「海外研修」です。
海外という非日常の環境に身を置くことで、普段の枠組みや常識が通用しない場面に数多く出会います。
言葉や文化、価値観の違いに直面し、自分の考えや行動を見つめ直す機会が自然と生まれる――これこそが、海外研修が“正解探し”から“気づき探し”への転換に最適な理由です。
また、海外研修では「自分で考え、気づく」プロセスがより強く求められます。
自ら課題を発見し、解決策を模索し、実際に行動してみる――この一連の流れが、単なる知識の習得を超えた“本質的な成長”を促します。
ラーニングピラミッドの理論は、まさに海外研修をはじめとした体験型研修の価値を科学的に証明しているのです。
偶然の出会いが生む、体験型研修ならではの学び
体験型研修、特に海外研修の最大の魅力は、「偶発的な学び」が生まれることです。
用意された正解をなぞるのではなく、現地でのリアルな体験や、予期せぬ出来事との出会いが、参加者一人ひとりに“新たな気づき”をもたらします。
あなたも、これまでの旅行や出張で、思いがけない出来事や異文化との出会いに戸惑い、驚き、時には感動した経験があるのではないでしょうか。
たとえば、慣れ親しんだ常識が通じない場面に直面したとき、戸惑いながらも新しい価値観や考え方に触れ、自分の視野が広がった――そんな体験は、きっと誰しも一度はあるはずです。
こうした偶発的な出会いや発見こそが、深い学びや成長のきっかけになります。
海外という未知の環境では、普段の業務では出会えない人や文化、想定外の出来事に直面することで、参加者は自分の枠を超えた発見を得ることができます。
「なぜこの場面で自分はこう感じたのか」「どうすればもっと良い結果が出せるのか」――こうした問いを自ら立て、考え、行動するプロセスこそが、海外研修の醍醐味です。

偶然の出会いや自発的な発見は、用意されたプログラムだけでは得られない、深い学びと行動変容につながります。
海外研修は、参加者の主体性を引き出し、組織全体の活性化やイノベーションにも寄与するのです。
また、海外研修では「正解が一つではない」ことを実感できます。
同じプログラムに参加しても、得られる気づきや学びは人それぞれ。
自分なりの視点や価値観を持ち寄り、他者と共有することで、組織全体の多様性や創造性も高まります。
この「多様な気づき」が、変化の激しい時代において組織を強くする原動力となるのです。
“新たな気づき”を生む体験型研修
――導入メリットと成功のポイント
体験型研修、特に海外研修を導入することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
まず、参加者の「自発性」や「主体性」が高まります。
自分で考え、行動し、失敗や成功を体験することで、受け身では得られない“本物の成長”が促されます。
また、多様な出会いや体験を通じて、視野が広がり、柔軟な発想やコミュニケーション力も養われます。
さらに、偶発性を意図的に組み込んだプログラム設計が重要です。
海外研修では、現地の人々との交流や、予期せぬトラブルへの対応など、計画通りにいかない状況こそが、参加者の成長を加速させます。
体験型研修の成功には、「目的の明確化」「体験の設計」「振り返りの仕組み」など、いくつかのポイントがあります。
単なる“旅行”や“イベント”で終わらせず、学びと成長につなげるための設計力が、成果を大きく左右します。
また、海外研修は「心理的安全性」を高める効果も期待できます。
参加者同士がフラットな関係で意見を交わし、失敗を恐れずチャレンジできる環境が整うことで、普段の業務では見えなかった一面や新たなリーダーシップが発揮されることも少なくありません。
こうした経験は、研修後の職場にも良い影響をもたらし、組織全体の風土改革やエンゲージメント向上にもつながります。

気づき探しが、組織と人を変える
「“正解探し”から“気づき探し”へ」――これが、いま企業研修に求められる新たな提案です。
体験型研修、特に海外研修は、従来型の“正解主義”を超え、社員一人ひとりの“新たな気づき”を引き出す新しい人材育成の形です。
ラーニングピラミッドが示すように、体験を通じた学びは深く定着し、現場での行動変容や組織の活性化につながります。
これからの時代、変化に強い組織・自ら考え行動できる人材を育てるためには、「気づき探し」を重視した海外研修が不可欠です。 一人ひとりの気づきが、組織全体の成長とイノベーションの原動力となるでしょう。

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