海外研修
HISの海外研修は、経験豊富な海外研修専門スタッフが研修目的を徹底ヒアリングを行い、刺激的な海外体験目的に合わせた最適な旅先で、学びと成長を加速させます。
「次世代リーダー層が育たない」
「社員の主体性がない」
このような課題を抱える経営者の皆さま、その原因は社員の能力ではなく、 良かれと思って作った 『会社の暗黙のルール』が、社員の成長を制限しているのではありませんか?
「研修は知識を身につけるもの」「海外研修は遊びではないから楽しんではいけない」というような固定観念に、経営層の皆さま自身がとらわれていませんか?
企業が生み出す文化は、時には社員の成長を制限する見えない鎖となります。
社員が自らの殻を破り、組織変革の担い手へと成長していくためには、「何を学ぶか」を考える前に、「どのように考えるか」を変える必要があります。
本日は、その研修設計における突破口についてお話しいたします。
企業研修を設計する上で最も重要なことは、社員の成長が「どの方向」に向かうのかを定義することです。なぜなら、従来の研修設計が目指していた成長は、組織変革に本当に必要な人材育成につながっていない可能性があるからです。
新しい知識やスキルを習得するなど、知識量や引き出しの数を増やしていく成長です。これは、従来の企業研修が最も得意としてきた領域であり、「やり方」を改善するアプローチを指します。
この成長はあくまでも「やり方」を改善するものであり、根本的な「考え方」を変えるものではありません。 例えば、コップの中に知識やスキルという水を満たしたとしても、コップの形、すなわち「思考の枠組み」そのものは変わりません。どれだけ知識を詰め込んでも、その知識を活かす「前提」や「世界観」が変わらなければ、革新的な発想や、前例のない課題に立ち向かう自発的な力は生まれません。
階段を上るように、より高い視点や多角的な視点へ移行する成長を指します。これは、知識の「深まり」や「質的な進化」のイメージであり、行動や認識の枠組み自体が変化・進化することを意味します。
この垂直方向の成長こそが、社員の自発性を根源から引き出し、組織変革の担い手を育てます。
この成長は、知識のコップに水を満たすのではなく、コップそのものの形や容量を変えることに相当します。新たな発想や価値観を受け入れる柔軟性が生まれ、自らの意思で組織の課題解決に主体的に関わる人材へと進化していきます。
従来の企業研修は、知識の獲得に偏重し「水平方向」の成長に終始しがちです。
しかし、社員が固定観念という思考の枠組みを手放し、内側から革新的な発想を促進するためには、水平方向の成長だけでは不十分です。
そのため、垂直方向の成長を重視した研修を戦略的に取り入れていくことが、固定観念を手放すための突破口となります。
固定観念を打破し、垂直方向の成長を遂げた社員は、やがて組織変革を推進する強力な担い手へと進化します。この変容は、以下のような本質的な行動革新をもたらす人材を、組織に生み出すことに繋がります。
社員は「この会社ではこうあるべき」という無意識の制約から解放されます。その結果、市場や顧客の真のニーズに基づいた、新しいビジネスモデルやソリューションをゼロベース思考で生み出す力が向上します。これは、既存の延長線上ではない、非連続な成長を生み出す源泉となります。
物事を多面的・構造的に捉えることができるため、正解が一つではない混沌とした状況でも、冷静に状況を分析し、本質的な課題を見つけ出すことができます。失敗を恐れず、解決に向けて深く掘り下げて行動し続ける力が鍛えられます。
固定観念が「自分の役割の境界線」を作っていたのに対し、組織全体の目的やビジョンを基準に行動します。指示待ちではなく、自らの意志で行動を起こし、内発的な動機に基づいて周囲を巻き込む力を発揮します。この「自律性」こそが、組織全体に活力を生み出す鍵となります。
固定観念を手放す過程で培った自己客観視の力によって、自らの行動や判断を常にフィードバックし、PDCAサイクルを高速で回します。これは、変化の激しい現代において最も求められる、持続的な学習能力の基盤となります。
では、垂直方向への成長を促すには、どのような研修内容を実施すればよいのでしょうか。 社員の自己成長を促し、固定観念をリセットさせるためには、以下のような「体験」を研修に組み込むことが必要です。
自社や自部門の「当たり前」は、世界全体から見れば無数にある選択肢の一つにすぎません。この前提を覆すことで、自己の常識に対する信頼度を意図的に下げることを目的とします。
例えば、スタートアップ企業の経営者や若手社員との交流を通じて「常識のスピード感」を体感したり、異業種の若手社員との合同ワークショップで自社の常識を相対化したりするような研修が有効です。
その結果、「解は多様に存在する」と認知することで、既存の枠組み内での思考を止め、新しい発想を取り入れる余白が生まれます。
単に異なる価値観を知るだけでなく、異なる価値観を持つ環境に身を置くことで、思考回路の柔軟性を強制的に高め、「自分の正しさは絶対ではない」という認知を獲得させます。
例えば、海外研修プログラムにおける異文化を持つ人との協働や、異なる文化的背景を持つチームでの協働ワークなどを通じて、自分と違う価値観を持つ相手の「正しさ」を理解しようと試みる中で、多角的な視点と受容性、そして柔軟性などが養われます。
個人がこれまでの人生や職場で培ってきた「正しい」「当たり前」という自己定義や行動規範を、外部環境の力によって「手放さざるを得ない」状況にすることを目的とします。
具体的には、専門外の分野でのゼロベースの課題解決や、文化や言語が異なる環境下での交渉といった、予測不能な環境でのチームミッション遂行を課す研修などが有効です。
自分の最も得意なやり方が通用しない環境に身を置くことで、自己客観視が促され、「自分が何を知っていて、何を知らないか」というメタ認知力が向上します。
このように社員の自己成長のためには、普段何気なく行っている業務や判断を見つめ直し、リセットする環境に身を置くことが不可欠です。特に、日常から完全に切り離された非日常空間では、高い効果を発揮します。
世界を見渡せば、異なる環境、宗教、教育、文化、食事で育まれた多様な考え方が存在します。これは、私たちが無意識に持つ「こうあるべき」という固定観念が、決して唯一の最適解ではないことを示唆しています。だからこそ、「百聞は一見に如かず」の言葉通り、日本を離れ海外に身を置くことは、その強烈な異文化の衝撃により、社員の固定観念を揺さぶり、気づきと学びを最大化させるのです。
ただし、単に海外で研修を行うことだけでは、社員の自己成長に繋がりません。重要なのは、現地の異文化体験を通じて、いかに新しい視点や深い気づきを生むかという、プログラムの戦略的な設計です。
単なる観光ではなく、現地に根付く伝統文化の背景にある価値観に触れたり、異文化圏で働くビジネスのプロフェッショナルの方などと対話することで、国内研修では得難い、強烈な気づきを得ることができます。これこそが、垂直成長の核心的な体験なのです。
このように固定観念を打破することこそが、新しい発想が生まれるきっかけとなり、組織のビジネス変革を起こす可能性を広げます。社員の自己成長を促すためには、今、企業研修を「知識の獲得」から「価値観の変容」へと進化させることこそが、経営層にとっての最重要テーマとなるのではないでしょうか。