海外研修
目的に合わせた最適な旅先で、学びと成長を加速させる“体験型”研修プログラムをご提案します。企画から実施、研修後のフォローまで、専任担当者が一貫してサポートします。
現代のビジネス環境は、VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)と表現されるように、将来の予測が困難で環境の変化が激しい時代です。急激に進化するAIは、データ分析や情報処理において人間を凌駕する一方で、AIには代替できない人間ならではの能力を磨いていく必要があります。
企業の人事部門でも、「ヒューマンスキルの強化」が重要なトレンドとして挙げられることが多く、その根幹をなすのが「感性」です。
AIではプログラミングしえない感性を磨くことが、AIと共存する上では必要不可欠となります。
本日は、このAI時代になぜ感性が重要なのか、そして企業が従業員の感性を磨くためにどのようなアプローチをすべきかについて掘り下げていきます。
AIは大量のデータに基づき、分析・予測することは得意ですが、顧客が言葉にできない漠然とした欲求や、表面には現れにくい微妙な感情・ニュアンス、共感に基づいた深い理解をすることなどはAIには困難です。感性があるからこそ、顧客の心の奥底にあるニーズを汲み取り、信頼関係を築き、より質の高いパフォーマンスへと繋げることができます。
AIは既存のデータを基に最適な解を導き出すことは得意ですが、全く新しい概念や、既存の枠にとらわれない斬新なアイデアを生み出すことは苦手です。データには存在しない直感やひらめき、異なる情報同士を結びつける感性こそが、破壊的イノベーションや新たな市場を創造する源泉となります。
AIは明確なデータとルールに基づいた問題解決に優れていますが、正解が一つではない、複雑で曖昧な問題に対しては限界があります。感性は、多角的な視点から問題の本質を見抜き、論理だけでは導き出せない柔軟かつ創造的な解決策を見出す力となります。
チームメンバーの潜在能力や感情を理解し、共感することで、モチベーションを引き出し、困難な状況でも一丸となって目標に向かわせる力が求められます。AIは感情を持たないため、人の心を動かし、鼓舞するような真のリーダーシップを発揮することはできません。
グローバル化が進む現代において、異なる文化や背景を持つ人々と協働するためには多様な価値観を理解し、感情的な側面を考慮に入れた複雑な人間関係を円滑に構築する必要があります。感性によって他者の感情や意図を深く理解し、共感することで、チームや組織の一体感を高め、相乗効果を生み出すことができます。
スキルアップ研究所による「AI時代の職業意識に関する実態調査」では、「業務におけるAIの台頭について、スキルアップやリスキリング(学び直し)をする必要性を感じていますか」という質問に対し、66%以上の人がスキルアップやリスキリングの必要性を感じているという結果が出ています。
出典:スキルアップ研究所|AI時代の職業意識に関する実態調査
また「 AIに職場で取って代わられないためにどのような努力をしていますか」という質問に対しての回答では、18.2%が「コミュニケーション能力の上達」、15%が「アイデアや発想力の強化」と回答しております。
出典:スキルアップ研究所|AI時代の職業意識に関する実態調査
AI時代と共存できるよう、人間独自の価値を重視する方が多い傾向だということが結果からも読み取れるかと思います。
コミュニケーション能力や発想力の強化・上達だけでなく、感情を読み取る力、革新的なアイデアを生み出す力、さらには知識・技術の研鑽、柔軟性や適応力の向上、リーダーシップの育成など、どの回答もAIには代替できない人間ならではの価値を重視する傾向が見受けられるという結果となりました。
このような力をつけたいと思っている方が多い現在、企業側でスキルアップやリスキリングの機会はあるのでしょうか。
eラーニング
集合研修
出典:リスクモンスター株式会社|研修担当者250人に聞いた「社員研修に関するアンケート」調査結果発表
リスクモンスター株式会社が実施した「社員研修に関するアンケート」調査の結果によると、eラーニングでは「コンプライアンス」「情報セキュリティ」「ハラスメント防止」、集合研修では「新入社員研修」「管理職研修」「中堅社員研修」がトップ3と実務に直結する研修が優先されているようです。
従業員がスキルアップを希望しているようなコミュニケーションやアイデア・発想力に集中的にアプローチする研修は、優先度が低く、なかなか実施されていない企業が多いことがわかります。そのため、このような部分に関しては、従業員任せになってしまっているのが現状です。
では会社として従業員の成長意欲に対して、どのようなサポートをしていくことが必要なのでしょうか。
私たちは日々、多くの情報に触れて生きています。しかし、情報に流されるばかりでは、心が動く瞬間に気づきにくくなってしまうかもしれません。
従業員一人ひとりが日々の業務や生活の中で意識的に感性を磨き、ビジネスパーソンとしての可能性を広げるには、どのようなポイントがあるのか、また企業としてどのような環境を与えたり、支援をする必要があるのでしょうか。
感性の入り口は、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感です。私たちは、日々仕事の多くの情報を、文字や数字で処理しています。ですが、「生の情報」に触れることで、感性は磨かれます。
また五感で得た情報をただのデータとしてではなく、感情や背景を伴う情報として捉えることで、新たなインサイト(洞察)が生まれます。
企業が従業員にできる支援策例
ワークショップの実施
異なる業界の製品デザインを分析したり、顧客の行動を五感で観察するフィールドワークを取り入れたりする。
体験型研修の導入
視察研修などで、競合店や関連企業の店舗を訪れ、陳列方法や顧客体験を五感で分析する機会を設ける。
社内環境の整備
オフィスに季節の花を飾ったり、アロマを導入したり、従業員が五感でリフレッシュできる空間づくりも有効です。
仕事の成果は、日々のインプットの質に左右されます。意識的に「異質なもの」に触れることで、思考の幅が広がります。
企業が従業員にできる支援策例
異業種交流会への参加奨励
普段関わらない業界の技術やサービスに触れ、自社のビジネスに応用できないかを考える機会を提供する。
アート・文化イベントへの支援
美術館やコンサート、伝統芸能などに触れる機会を提供し、論理では説明できない表現からアイデアのヒントを得られるようにする。
社内外の多様な人材との交流促進
部署を越えた交流会や、社外の有識者を招いた講演会などを企画し、年齢、職業、国籍、価値観が異なる人々との対話を促す。
「なぜ?」「もっと知りたい!」という純粋な好奇心は、感性を広げる大きな原動力になります。この問いを繰り返すことで、データやロジックだけでは見えない、物事の奥にある「本質」を捉える力が養われ、「現象」と「本質」を見分ける感性を養います。
企業が従業員にできる支援策例
探求型プロジェクトの推進
既存業務の枠を超え、従業員が自由にテーマを設定し、深く掘り下げて探求できるプロジェクトを推奨・支援する。
顧客深掘りワークショップ
顧客からの要望をそのまま受け取るだけでなく、「なぜそれを求めているのか?」と問いを重ね、表面的なニーズのさらに奥にある「本当の気持ち」を探るワークショップを実施する。
成功事例の「なぜ」を議論する場
他社の成功事例や自社の成功事例を単に模倣するのではなく、「なぜ成功したのか?」「顧客は何に心を動かされたのか?」といった問いを深掘りし、議論する機会を設ける。
常に情報に触れ、タスクに追われていると、目の前の事象を深く考える余裕が失われがちです。心に「余白」を作ることで、情報の羅列から解放され、直感やひらめきが生まれやすくなります。
感性は、特別な才能ではありません。日々の仕事に追われる中でも、意識的に立ち止まり、自分と向き合う時間を持つことで、ビジネス感性は磨かれていきます。
企業が従業員にできる支援策例
内省の習慣化支援
定期的な1on1ミーティングで内省の時間を設けたり、ジャーナリング(日記)の習慣化を促すツールや情報を提供したりする。
リフレッシュ休暇の推奨
短期でもよいので、業務から完全に離れて心身をリフレッシュできるような休暇取得を推奨する。
オフィス外での業務推奨
コワーキングスペースやカフェなど、普段と異なる環境での業務を奨励し、偶発的な刺激や思考の転換を促す。
上記のような感性を育てる方法は日頃から実践できますが、短期間で集中的に、かつダイナミックに感性を刺激する機会として有効なのが海外研修です。
海外研修は、日常とは全く異なる環境に身を置くことで、五感が意識的・無意識的に研ぎ澄まされ、私たちのビジネスパーソンとしての潜在能力を引き出す絶好の機会を提供します。
・視覚の刺激で「創造性」と「美的感覚」を磨く
見慣れない街並み、歴史的建造物、美術館の展示、息をのむような自然の景色。これらあらゆるものが視覚を刺激し、新たな創造性や美的感覚を養います。
・聴覚の刺激で「共感力」と「情報察知力」を高める
現地の言語、多様なアクセント、異文化の音楽、活気ある市場の喧騒。これら普段と異なる音のシャワーを浴びることで、聴覚が敏感になり、言葉の裏にあるニュアンスや感情を読み取る共感力、そして周囲の微妙な変化を察知する情報察知力が向上します。
・嗅覚・味覚・触覚の刺激で「多様性への理解」と「柔軟な発想力」を育む
異国の料理の香りや味、伝統工芸品の質感、土や植物の感触など、新たな五感体験は、私たちの好奇心を刺激し、多様な価値観を柔軟に受け入れる力を育みます。
・異文化との接触が「自己認識」を深め、「変化への適応力」を高める
慣れない環境での問題解決やコミュニケーションを通じて、予期せぬ事態への対応力や柔軟性が鍛えられます。これは、ビジネスシーンにおいて臨機応変に対応する力を養い、自己認識を深めることにも繋がります。
海外研修を最大限に活かし、感性を磨くためには、いくつかの心がけが大切です。
・積極的な体験を促すプログラム設計
ガイドブックに載っていない場所への訪問や、現地の人々との交流を意図的に促すようなプログラムを組み込むことで、従業員が自ら積極的に探索し、より深い学びが得られるように支援します。
・日々の気づきを多角的に記録・共有する仕組み
研修中に美しいと感じたもの、心地よいと感じた音、心を揺さぶられた香りなど、五感で感じたことを具体的に記録するよう促すツールやフォーマットを提供します。帰国後には、それらの気づきを共有する場を設けることで、感覚の研ぎ澄ましと学びの定着を図ります。
・帰国後にアウトプットし、共有する
研修で得た五感の刺激や、そこから得られた学びが、どのように自身の仕事、特にヒューマンスキルに影響を与えたのかを言語化し、周囲と共有することで、学びが定着し、具体的な業務改善に繋がります。
AIの進化が加速する現代において、私たち人間が真価を発揮すべきは、まさにヒューマンスキルであり、その根幹を支えるのが「感性」です。感性は日々の意識的な行動、つまり五感を研ぎ澄まし、異質なものから着想を得て、本質を探求し、思考の余白を作ることで着実に育まれます。
しかし、これらの実践を「日常」から離れた場所で、より集中的かつダイナミックに経験できる場こそが、真の感性開花を促します。
その点で、海外研修は、これからの予測不能なAI時代を生き抜くために不可欠な感性を、最も効果的に、そして総合的に磨き上げる最高の機会となるでしょう。異文化のシャワーを浴び、言葉や習慣が異なる人々と交流し、未知の環境で五感を最大限に刺激する経験は、日々の業務では得られない深い洞察と、人間ならではの普遍的な価値を生み出します。
この感性の醸成は、単に従業員個人の成長に留まりません。 異文化での挑戦と達成を通じて得られる自己肯定感と自信は、従業員エンゲージメントの向上に直結します。 また、多様な視点や柔軟な発想力は、新たなイノベーションを生み出す源泉となり、企業の競争力強化にも貢献します。 感性の高い人材が増えることは、顧客の潜在ニーズを深く理解し、これまでになかった価値を創出する次世代リーダーの育成にも繋がるでしょう。
企業が従業員の感性育成に積極的に投資することは、単なる個人のスキルアップに留まらず、組織全体の創造性や問題解決能力の向上、ひいては企業競争力の強化に直結します。ぜひ、従業員がAI時代に求められる真のヒューマンスキルを身につけ、より豊かで刺激的な未来のキャリアを拓けるよう、海外研修という選択肢を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。