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現地ガイドからのおたより vo.2 終わり行く生命と生命誕生の時

   先週から私は、日本からオオカミの生態を学びに来ている高校生のグループを案内しています。そして今、彼らが 釣りを楽しんでいるのを横目で見ながら、川沿いでこの記事を書いています。「リバーランドスルーイット」という映画の 舞台ともなった、フィッシングでとても有名な川に来てみんな頑張っているのですが、まだ一匹も釣れていません。 ・・・うーん、このグループの今晩のおかずはどうなることでしょう。
  さて、前回は2〜3月のイエローストンについてお話しましたが、皆さんお楽しみいただけたでしょうか。今回は4〜6月のイエローストン を皆さんにご紹介します。
  世界にその名を知られるイエローストンは、四季折々、どの時期も捨てがたい魅力があります。しかし、その中でも4〜6月のイエローストンは 1年を通して最も見所の多い、すばらしい時期です。今は4月の初めですが、イエローストンの春はもう始まっています。動物たちは 活発に動き始め、春の恵みを謳歌しています。
クマ(イメージ)
  例えば、今私が案内している高校生のグループ は、昨日までの3日間でもうすでにオオカミ9頭、しかもオスのリーダ ーが群れに入ろうと希望したオオカミ をアタックしているところを、20メートルの至近距離から見ることもできました。また、ヤナギの森ではムースの母子をすぐそばで見られましたし、 ハイキング中には今年初のでっかい!ヒグマの足跡も発見しました。その夜はとてもハッピーな気持ちで皆で乾杯しました。 (高校生ですからもちろんジュースで。)
その他にも、バイソン、エルク、コヨーテ、白頭ワシ、アンテロープ等、合計千頭以上もの動物が、まさに「生きて いる」シーンを野生の中で観察 することができ、彼らの経験はとても深いものになったと思います。 そして、このグループが見たのはありのままの4月のイエローストンで、決して特別なことではありません。
(イメージ)
  しかし、何といっても4月から6月の一番の見どころは野生動物の赤ちゃんの愛くるしい姿が見られることと、クマやオオカミが1年を通して一番見やすい ということです。   特に今年は3月に暖かい日が続き、ふつう4月に入ってから冬眠から覚めるクマがもうすでに巣穴から出始めています。 4月下旬から5月6月は、子グマたちを引き連れた母グマを園内のあちこちで
見かけます。私は毎年5月にイエローストンでベアクラスを教えていますが、 クマの親子をたくさん見られるのでとても人気があり、いつも定員いっぱいになります。 私自身もとても楽しみにしています。また、オオカミも4月はじめに赤ちゃんが生まれるの で、子供たちに食べさせるために群れは活発に狩をします。
エルクを駆る群れの姿も見られるかもしれません。この8年間で、イエローストンは、オオカミが見られる確率が、世界で一番高い場所になっています。
  4月の終わりから5月上旬にかけてはバイソン、5月の終わりから6月上旬はエルクの赤ちゃんも生まれます。 4月から6月はまさに、命の誕生の時です。
特にちょうどゴールデンウィークの時期は、その日生まれたてホヤホヤのバイソンや、巣穴から出たばかりのオオカミの赤ちゃんが見られる、イエローストン のベストシーズンです。でも残念ながら日本のお客様はそのことを知りません。世界中から旅行客が殺到する夏のピークシーズンにいらっしゃって、 慌しく帰っていきます。私はこの素晴らしいイエローストンを皆さんにお見せするのに、日本の夏休みを5月6月にできたらと思っているくらいです。
  一方で、4月から6月は、厳しい冬をかろうじて生きながらえた動物が、力尽き、または強者に狩られて死ぬ時期でもあります。 私が撮影したエルクの屍体の写真を見ていただけましたか?かわいらしいリス、テディベアのような愛くるしい子グマ、可憐な草花も自然の一部ですが、 オオカミが食べたエルクの残骸こそ生命のサイクルの基本であり、これが現実の大自然の有り様といえるでしょう。
(イメージ)
  今回の高校生たちもオオカミが殺したばかりのエルクの屍体を2頭見ました。それを見てどんな思いを巡らせたかはそれぞれですが、 彼らの人生が深みを増したことは間違いありません。
  このように、生命の誕生と終わりを同時に見ることができるのはこの時期だけで、公園中が生と死のドラマに満ちて います。そして、このような体験が できるのは世界中でアフリカとイエローストンだけです。
美しい花々(イメージ)
  5月には高山植物も咲き始めます。一番最初に目にするのはグレーシャリリー(氷河のユリ)という黄色い小さな花です。 その可憐な花がそよ風に揺らめく様は、見るものの心を和ませます。6月になるとノボリフジ、ファイヤーウィードなどあでやかな 色彩の草花が競うように咲き乱れます。また、5〜6月は、メドウラーク、マウンテンブルーバードなど、いろいろな鳴き鳥達もイエローストン へ帰ってきます。ヒグマを探しながら草原を歩いていると、野鳥たちのシンフォニーがどこからともなく聞こえてくるでしょう。
ミサゴやカナダヅルは、求愛ダンスも見られるかもしれません。動物観察だけでなく、バードウォッチングもベストシーズンと言えます。
  自分の人生を深くしたい方、また生きている地球を実感したい方は是非この時期イエローストンへいらしてください。 4〜6月は見どころ満載の上、夏の混雑期には難しいハイキングやアニマルトラッキングもさわやかな気候の中で、ゆっくり楽しめます。 私たちと一緒にこの素晴らしい生命のドラマを発見しに行きましょう。
  また、お子さんがいる方は是非、子供たちを連れてイエローストンへいらしてください。私にはありさという名の8歳になる娘(エルクのアゴの 骨を持ってポーズを取っている女の子)がいますが、彼女の経験を深めるため、学校の了解を得て、毎年できるだけこの時期にイエローストンへ 連れて行きます。
去年からは娘の小学校の生徒と先生も希望者を連れて行き、クマとオオカミを通して、子供たちを教育しています。イエローストンは 子供たちの素晴らしい教室になっています。
  日本のお客様も、子供たちと一緒に世界を発見しに行きましょう。 イエローストンで体験するアドベンチャーは彼らの人生に大きな影響を与えていくと確信しています。
P.S.  さて釣りをしていた高校生グループですが、私がこの原稿を書いている間に、ようやく大きなホワイトフィッシュを1匹釣り上げました! バイソン焼肉とともに、今日の夕食の一皿になるでしょう。めでたしめでたし。
from スティーブ・ブラウン


バックナンバー
>>>  vol.5 夏の思い出 〜2005年11・12月〜
>>>  vol.4 イエローストンの春 〜2005年4・5月〜
>>>  vol.3 咲き乱れる高山植物とバイソンの格闘 〜2004年6・7月〜
>>>  vol.1 命に満ちた野生動物の姿と力強い地球のサイクル 〜2004年2・3月〜

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